第4回伊吹山イヌワシ観察会 参加募集終了

「第4回伊吹山イヌワシ観察会」はたくさんの皆さんの参加申し込みをいただき定員となりました。
募集を終了します。
行き違いで申込みされた方には申し訳ありません。
参加受け付けについてはメールで返信させていただきます。

次回は7月14日を予定しています。

ツキノワグマ、くくり罠で手のひら切断か



くくり罠での錯誤捕獲が非常に多い。
近年のニホンジカの激増で、様々な方法でシカの捕獲が実施されている。その中で、くくり罠による捕獲は無差別的であり、仕掛けられたくくり罠の数も多いので、シカ以外の野生動物がたくさん犠牲になっている。

山の中で見つけたツキノワグマは、右前脚の手の半分から先がなくなっていた。右前脚は爪がないので幹を抱え込むようにして木を登っていた。
そのクマの左耳には黄色のタグが付いている。錯誤捕獲されてタグを付けて放獣した個体である。黄色いタグは滋賀県内で捕獲されたクマだと聞いた。
錯誤捕獲されたクマを殺さず放獣したが、手を締め上げたくくり罠で手の先端部はダメになってしまったのだろう。
このクマは一命をとりとめた。県によっては錯誤捕獲されたクマは殺すところも多い。

林道脇には点々とくくり罠が仕掛けられている。免許を持った人1人当たり30個まで罠を仕掛ける事ができる。1つの県の中でも何千個も仕掛けられているだろう。
捕獲目的のシカだけが捕まるのではない。くくり罠の輪の中に脚を突っ込んだらキツネやタヌキなど中型以上の動物は罠にかかってしまう。
仕掛けが作動する重さを調節できる罠も出てきているが、カモシカやクマなど同等以上の体重の動物には意味がない。相変わらず今でも脚先を無くしたキツネやタヌキの新たな個体が現れる。仕掛けの作動調節は、うまく機能しているとは思えない。走っているキツネの脚が仕掛けの踏み板を踏み抜く力と、静かに歩いているシカが踏み抜く力に違いはあるのだろうか?

以前アップしたくくり罠関連のものは以下にあります。

脚を失った野生動物。くくり罠との関係

脚を失った野生動物。くくり罠との関係

丘の上のアナグマハウス 4月11〜15日

丘の上のアナグマハウス 4月11〜15日

第4回伊吹山イヌワシ観察会のお知らせ

「第4回伊吹山のイヌワシ観察会」を2024年5月12日(日)に開催します。
眩いばかりの新緑に包まれた伊吹山で孵化後1ヶ月の雛を育てるイヌワシペアの行動を観察します。
巣へ獲物を運ぶ姿を観察できるかもしれません。
周辺にはツキノワグマやニホンジカ、カモシカなどが生息し、様々な野生動物を探索します。
渡来した夏鳥の賑やかな囀りにも注目。

観察会は1〜2ヶ月に1回実施する予定です。
次回は2024年7月14日(日)を予定しています。

第4回伊吹山イヌワシ観察会案内
イヌワシ観察会案内

参加申込書
第4回イヌワシ観察会参加申込書

「巣に近づかないで」という報道を見て巣に近づくカメラマン4人(2024/4/18)

米原市は早過ぎたプレスリリースを悔やんでいることだろう。イヌワシ目当てのカメラマン達に早めに知らせてあげようという親切心は踏みにじられた。

4月18日の朝、報道によって立入禁止区域の近くでイヌワシが営巣していることを知ったエビスヤ(伊吹山の山小屋)らカメラマン4人が立入禁止区域に入ってカメラを構えている。
雄ワシは少し離れたところに止まってカメラマン4人の様子を見ているようだ。
雌ワシは巣の中にいて、巣からドライブウェイは見えないのでカメラマンの存在には気づいていない。2時間ほど経った頃、雌ワシが巣から出た。
その後、雌ワシは巣への出入りを何度も繰り返した。雛は孵化して1週間ほど、この時期雌ワシは雛の保温や給餌でほとんど巣にいるのだが、頻繁に巣への出入りを繰り返す行動は少し変だ。
その様子を見ていた雄ワシは、緊張が緩んだのか雌ワシのそばに飛んできた。交尾の後、雄ワシは飛び立ち巣へ向かったが、巣には入らず5mほど横に止まった。雌ワシが巣材を取って巣へ戻った。雄ワシは巣へは入らずに飛び去った。
その後も雄ワシは巣のそばには来るが巣に入ることはなかった。巣への出入りを繰り返していた雌ワシはどこかへ飛び去った。
雌ワシが巣に戻って来たのはドライブウェイで粘っていた2人のカメラマンが帰って間も無くの17:50だった。

かなり心配したが、気温は高めなので雛は大丈夫なようだ。母ワシは給餌をして抱雛に入った。抱卵期なら繁殖失敗となるところだった。
巣からドライブウェイが見えないのが、せめてもの救いだ。
雛が小さくか弱い時期を乗り切ってくれればいいのだが・・・。

エビスヤ達が立っていたこの場所は、そもそも道路交通法の第8条で規定された立入禁止区域である。さらに今年はイヌワシペアが繁殖のための重要な場所として使用している。人がいなければドライブウェイすぐ脇まで止まり場所として利用している。これから雛の成長に伴い餌の受け渡しの中継地となったり休息場所となったり大いに利用する場所だ。そんな場所にカメラマンが陣取ってしまうと、イヌワシのストレスはかなり大きい。
イヌワシの優先エリアとして、人間は後退すべきだと思う。
ひとりひとりの良心と、多くの人の見守りによって、今年の繁殖が成功することを祈る。

伊吹山のイヌワシ、今年の繁殖が成功しますように

伊吹山のイヌワシペアは、まさかこの巣をもう一度使用すると思わなかった。ドライブウェイ直下でかなり近い。ドライブウェイにたくさんのカメラマンがいる時にも巣材を運ぶことは時々あった。
しかし、神経質になる繁殖期には利用することはほぼなかった。7-8年前にこの巣で一度だけ産卵したことがあったが、冬期閉鎖が終わりドライブウェイ開業の頃に繁殖は失敗した。この時は、たくさんのカメラマンが訪れると繁殖が失敗する可能性が高いと思いながらも、なす術がなくそっと見守った。声を上げたところで、何も対策はできなかっただろう。

今回は状況が違う。昨年の「イヌワシ子育てライブ」で伊吹山のイヌワシの生活の厳しさ、せめて人の直接的な影響はできる限り避けなければならないことを多くの方々に伝えられたと思う。今なら思い切ってイヌワシの営巣場所を公開してでも、繁殖に重要な場所への人の立ち入りを制限してみんなで見守ることが可能だと思えた。

イヌワシが繁殖に利用している重要な場所への立ち入り制限。その場所は元々、道路交通法で歩行ができない場所であり、イヌワシや貴重植物を守るために立ち入り禁止とされている場所だ。これまでも看板がいくつも立てられているが守られていない。
その場所を今年はイヌワシが繁殖のために占拠した。我々は少し後退して見守ろうではないか。イヌワシが安心して子育てをできたなら、伊吹山の大空に、三つ星を輝かせた若ワシが姿を見せてくれるだろう。
その時をみんなで心待ちにしたい。

イヌワシにストレスのない子育てが続くように、皆さんの協力をお願いします。

オオタカの繁殖 抱卵期2024年4月1日



オオタカは産卵して抱卵中だった。雌が抱卵し、雄は近くの木で巣のまわりの見張りをしている。
雄はしばらく止まりを続けた後、伸びをして飛び出して行った。何かを見つけて追うというふうではなく、ふらふらと右へ左へと飛行して獲物を探している。
そのうちに狙いを定めて一直線にスピードを上げた。地上近くで反転して降下して見えなくなった。狩りの結果が見えないのは残念だが、地上付近まで高度が下がると視界を得るのは難しい。

ここの周辺にはドバトの数千羽の群れが飛び回り、農耕地に降りて採食している。オオタカはそのドバトを狙うことが多い。この狩りの結果は不明だが、数時間後には獲物を巣の近くに運んで来て雌に渡した。
雌が獲物を食べている間、雄は雌に代わって抱卵をした。
雌が獲物を食べて巣に戻って来たのは25分後だった。そのうが膨れて獲物を食べたことがわかる。

河川沿いにはオオタカやノスリ・ハイタカ・チュウヒ・ハイイロチュウヒ・トビ・ハヤブサ・チョウゲンボウなどたくさんの猛禽類が狩りをしながら暮らしている。
農耕地や市街地が広がるエリアの中であっても、河川沿いは林や草花が茂る野生動物の素晴らしい生息場所である。

しかし、近年この河川敷の林が急速に失われている。
ここのオオタカも最初に使用していた大木の巣は、刈り払われてなくなってしまった。200mほど巣の場所を移動して繁殖している。そしてまたこの巣の近くまで伐採が進んでいる。
かつてキツネがカヤネズミを狩っていた場所も整地され、芝生のような草と平坦な地形になってしまった。カヤネズミや多くの野生動物が生息できる場所ではなくなった。
山から河口まで続く河川、平野部では唯一残された野生動物の生息地を残すことは重要なことだと思う。

伊吹山のイヌワシ繁殖状況2024年4月10日



4月10日、雛が孵化している。雛は見えないのだが、母ワシの動きから雛への給餌をしていることがほぼ確実だ。5分間くらいの給餌行動が5回観察できた。

巣には獲物があるので少し安心だ。雄ワシは、雛と雌ワシのために狩りにでかけて今日は巣には来なかった。上空でヤマドリを追っている姿を見ることができた。最初の急降下攻撃で捕獲に失敗して、逃げるヤマドリを追っているのだ。しかし、水平飛行ではヤマドリがイヌワシを引き離して谷間を横切って見えなくなった。残念ながら狩りは失敗した。

今朝は冷え込んで霜が降りたが、日中は風も穏やかで気温がぐんぐん上がって暑いくらいだ。暖かい時間帯を利用して、雌ワシは巣を離れて一時的に休息していた。巣から飛び立った後に飛びながら勢いよく糞を飛ばした。親ワシは巣ではほぼ糞をしない。外へ飛んでいって糞をする。時には巣から飛び立って旋回しながら糞をして、すぐに巣に戻ることもある。

夕方気温が下がり始めると、雌ワシは姿勢を低くしてしっかりと雛を保温している。雌ワシの姿は遠くからは全く見えなくなった。

※ 「伊吹山のイヌワシ観察会」は2024年5月12日に開催予定です。
来週に案内を出す予定です。

伊吹山のイヌワシ繁殖状況2024年3月末



3月22日と31日に抱卵を継続しているのを確認した。抱卵交代が1日に2〜3回行われ、雄も雌に代わって時々は卵を温めている。
雄も意外と熱心で、雌が戻って来ても抱卵姿勢のままなかなか立ち上がらない。そのうちにしかたないとばかりに立ち上がって飛び去って行く。雄は狩りをして、雌の分まで捕獲しなければならない。繁殖の継続には雄の狩りがうまく行くかどうかにかかっている。

22日と31日の両日とも、朝は空腹で夕方になって雄のそのうが膨れて、獲物を食べたことがわかった。雌に獲物が運ばれたかどうかはわからない。
少なくとも雄ワシは2日とも獲物にありついているので、今のところ順調に獲物を捕獲できているようだ。

※ 「伊吹山のイヌワシ観察会」は2024年5月12日に開催予定です。
来週に案内を出す予定です。

オオタカの繁殖生態 造巣期2024年3月



オオタカは今巣造りの真っ最中だ。雄がせっせと巣材を運び巣を整えている。雌は少し離れたところに止まって雄の働きぶりを見ているだけで、たまにしか巣材を運ばない。
トビやカラスが巣の近くに来た時に、追い払いに出動するのも主に雄の役割だ。カラスが近づいてくるのを見つけると、姿勢を低くしていつでも飛び立てる体勢でカラスの動きを目で追っている。カラスが巣から50m程度の範囲に入った時、雄のオオタカが飛び立った。それに気づいたカラスは方向を変えて逃げ出すが、猛スピードのオオタカに追いつかれ、攻撃をかわしながら逃げていく。カラスが少し巣から離れるとオオタカは攻撃をやめる。
オオタカの攻撃を受けるので、トビやカラスは出来るだけその場所を通らないように意識しているように見えるのだが、トビやカラスはたくさんいるので知らずに近づく個体がいたり、ついうっかり通過してしまったりするのでオオタカは巣の防衛にも忙しい。雄が狩りに出かけている間にカラスが接近した時には、雌がカラスを追い払った。

産卵前のこの時期は、雌は木に止まっていることが多いので、ほとんど狩りはしていないだろう。雄は巣造りの合間に獲物を見つけると遠くまででも飛んで行って狩りをしている。
1kmほど先のドバトの群れを見つけて一直線に向かって行ったことがあった。ドバトの群れの上から反転するように急降下して群れに突っ込んだが、高度が下がって見えなくなってしまった。その後獲物を持ち帰らなかったので狩りは失敗したようだった。
また、2〜300m離れたところへも急降下したがこれも失敗したようだ。手ぶらで巣の近くへ戻って来た。その間、雌のほうは木に止まったままだった。雄だけが忙しなく動き回っている。
この忙しさの中でも雄が獲物を雌に運べないようであれば、これから始まる産卵と子育てはうまくいかない。雌は、雄が十分な獲物を運んでくるかどうかを見極めているのだろう。

伊吹山のイヌワシ繁殖状況2024年3月12日



2月29日に昨年とは別の巣で抱卵しているのを確認した。昨年使用した巣では2月初旬まで巣造りが見られたが、それ以降イヌワシペアはこの巣へまったく来なくなった。別の巣での繁殖が予想されたので、繁殖を妨害しないよう遠方からの観察でようやく抱卵している巣を見つけた。
2月24日にはペアで飛行しているのを観察しているので、第1卵の産卵は25〜28日だと推測される。昨年とほぼ同じである。

新しく設置したライブカメラの巣ではなく、予想しなかった巣での繁殖だった。残念ながら今年の子育てライブはできなくなったが、繁殖状況は1〜2週間に1回程度お知らせします。

3月11日にも抱卵を継続しているのを確認した。この日は雌雄が抱卵を交代するのを2回観察できた。雄ワシと抱卵を交代した雌は、長時間の抱卵姿勢から解放されてくつろいでいた。
雄ワシが運んでくる獲物が少ないせいか、雌ワシは糞をしてもほとんど出てくるものがなかった。今冬の観察ではそのうが膨れているのを見ることが多く、結構獲物にありついているので、今のところ餌不足の心配はないだろう。
積雪がなくなって獲物を探しにくくなるこれからが雄の狩りは大変になるだろう。

※「伊吹山のイヌワシ子育て生中継2024」は3月1日で配信を終了しました。
※ 「伊吹山のイヌワシ観察会」は2024年5月12日に開催予定です。