新年おめでとうございます。
今年から、イヌワシの巣造りから子育てまでをライブ配信する予定です。
これまで僕のライフワークであるイヌワシについて、ネット上ではほとんど発信していませんでした。発信することで、たくさんの人たちがイヌワシの生息地を訪れることになり、警戒心の強いイヌワシの繁殖や生活に影響を及ぼしてしまうことを懸念しているからです。
伊吹地域に生息するイヌワシを、これまで40年間ひっそりと見守ってきましたが、近年では多くの人の知るところとなり、イヌワシを狙う多くのカメラマンが集まるようになっています。それぞれが思い思いの行動をとることで、イヌワシの生活を狂わせつつあります。餌となる動物の死体などを持ち込んで写真を撮ろうとする人がいたり、巣立った幼鳥を追いかけて、普段は人が立ち入らない山中のあちこちにカメラを構えた人が居座っていたり、また巣の近くまで行ってカメラを構えているために、親鳥が巣に戻れない事態も起こっています。
情報が瞬時に拡散する現代では、僕が情報を発信しないことだけでは人の集中を避けることはできません。人が集まるところでは、自然観察のルールが必要だと思います。僕がよく訪れるアフリカの国立公園にもルールがあります。野生動物に餌を与えない、観察路や道路から外れて動物たちを追いかけない、動物の行動を阻害しない、などです。日本でも人が集中する場所では、こうした自然観察のルールが必要になってきています。
今回のライブ配信では、普段見ることができないイヌワシの巣造りや子育てを、イヌワシに影響を与えることなく観察できます。このような趣旨に賛同いただける方々と一緒にイヌワシを見守り、イヌワシの生活を脅かすことがないようなルールが、自然に出来上がることを期待しています。
ライブ配信は、2月頃から公開予定です。それに先立ち、繁殖状況のダイジェスト版を発信していきます。
今回は、12月下旬の巣造りの様子です。巣材運びが見られるようになりましたが、まだ本格的ではなく、巣は整っていません。何年にも渡って同じ巣を使用しますが、巣材の一部が崩れ落ちているので、これから新しい巣材を積み上げていきます。
雪が降り積もった巣の上に巣材を運んで、途方に暮れているようなイヌワシの姿もありました。
イヌワシの巣造り。雪の上に巣材運ぶ。ライブ映像ダイジェスト版2021年12月