今冬は雪が少ないとはいえ、山は雪に覆われた。白銀の斜面の反射を受けてイヌワシの飛翔が輝いている。
雌ワシは相変わらずまだ巣造りに参加していない。今日は巣から離れたところで長時間止まって過ごしていた。午後になって雄ワシを見つけて飛び立ち、合流して一緒に飛行。雄ワシが雌ワシを攻撃する様に接近して、雌ワシは反転してそれを受け止める。ペアのディスプレイフライトだ。
ペアが雪の上に止まった。普段は岩や木の上に止まるのだが、雪が積もると雪の上にもよく止まる。雪の上だとよく歩き回ることがある。
雄ワシが少し歩いて雪上の何かを嘴で摘んだが何かは分からなかった。
ペアが止まっているところにサーナが現れた。すぐそばを通過するが、そこには止まらずに少し離れて止まった。
サーナのそのうは大きく膨れている。獲物を食べて来たらしい。両親ワシのそのうは膨れていないので、もしかしたらサーナは自分で獲物を捕らえたのかもしれないが、確認はできない。
サーナは両親がいる所へと雪上を登り始めた。両親の様子を見ながら徐々に距離を縮めている。頭を下げた低い姿勢で、尾羽を少し立たせて母ワシを小突く。満腹のはずなのにさらにおねだりなのか、それとも別の何かを訴えているのか?理由は分からないが執拗に何度も小突く。
どういう行動なのか知りたいが、それ以上は分からない。
サーナの目標はなぜか母ワシだけだ。父ワシのほうへは向かわない。母ワシはどっしりと構えて取り合わないが、迷惑そうに少し離れる。父ワシのほうは、サーナが接近したり父ワシのほうを見ただけでもいち早く距離を取っている。
飛び去った両親を追ってサーナも飛び去った。
サーナと両親は少し距離を置き始めているように感じる。サーナは時には両親から追い出しを受けているかもしれない。追い出し行動は日替わり的な面があって、追い出し行動をしたかと思うと翌日には獲物を渡したりすることもある。
少しづつサーナの独り立ちの時が近づいている。