伊吹山のイヌワシ幼鳥「サーナ」2024年12月9〜18日 雪の季節がやって来た



山では雪の降る日が多くなった。標高1,000m以上はこのまま根雪となるだろう。雪の上には動物たちの足跡が残り、行動を想像しながら山歩きを楽しむことができる。

12月9日にはクマはまだ活動している。雪の上に足跡を残して悠々と歩いていた。キツネは左右にブレない歩きで足跡を残して行った。

サーナは両親のそばでの生活が続いている。まだまだ獲物をねだって親ワシを追いかける姿が見られたが、親ワシたちは次の繁殖準備のためにサーナへの獲物の供給は少なくなっているのではないだろうか?
心なしか親子の距離感が広がった様に感じられた。

伊吹山のイヌワシ幼鳥「サーナ」2024年12月5日 獲物は親ワシ頼み

山麓部に残る紅葉

このところ山頂部は度々うっすらと積雪している。木々は落葉して林床が見通せるようになってイヌワシの狩場として利用しやすくなった。今は山麓部に残った紅葉も最終段階となている。

11月28日にサーナを目撃した時には獲物をせがんで母ワシを追いかけていた。その後は親ワシの出現はあるがサーナの姿を確認できなかった。親の元を離れて独り立ちする時期が近くなってきているので、サーナはもしかして早くも伊吹山を去ったのかと気になっていた。

12月5日、サーナを確認すべくサーナがよく利用する場所を広く見渡せる地点に腰を据えて観察を開始した。
昼を過ぎてもサーナの姿は見つからない。雄ワシが2回出てきただけだ。まだ独り立ちするには少し早いと思いながらも、サーナが伊吹山を離れた後に行く場所を予想して、親ワシたちの行動圏の周辺部にまで範囲を広げて観察しなければと考え始めていた。
13:14、僕の勝手な心配?を見事に裏切ってサーナはいつもと変わらぬ様子で現れた。小さな沢に入って見えなくなった。どこから見ていたのかまもなく父ワシが現れ同じ沢へ入って行った。

両翼の白斑を輝かせて飛行するサーナ

父ワシが再度現れて木に止まった。サーナも隣に止まって獲物をねだっている。飛び立ったサーナは植物の塊を拾い上げ、強い西風に乗って「苔玉落とし」を始めた。落とした塊を素早く急降下して空中でキャッチする。夏頃と比べると安定してうまくキャッチするようになった。

苔玉を掴んで飛行

  

落下する苔玉を追いかける

落下する苔玉を追いかける

  

見事にキャッチ

14時前には、親子3羽で現れてしばらく同じ木に止まった。両親ワシが飛び立ち狩りに出かけるのを追ってサーナも一緒に北尾根に向かった。
まだまだ親ワシたちに食物を頼っている。サーナの独り立ちはもう少し先になりそうだ。

親ワシたちについて狩りに出かける(右上がサーナ)