クマタカが鉄塔で営巣

クマタカの営巣の多くはマツやスギなどの針葉樹が多く、場所によってはブナやトチなどの落葉広葉樹にも見られる。外からは見えにくいところに巣をかけるのが普通である。ところが、まわりがひらけた見晴らしのいい鉄塔の中腹に営巣しているクマタカペアを先日発見した。このような例はこれまで聞いたことはなく、調べてみても見当たらない。おそらくこれが初めての事例だと思う。

鉄塔を利用した営巣は、同じタカの仲間ではミサゴで時々確認されている。ミサゴはもともと木の頂上などのひらけた見晴らしのいいところに営巣することが多いので、鉄塔もまた似たような環境といえる。しかしクマタカにとってはかなり違った環境となってしまうのだが、これも新世代クマタカのなせる技なのかもしれない。

雄クマタカがヘビを捕まえて巣の近くに戻って来た。巣の脇の鉄塔の横棒に止まり、抱卵中のメスに獲物を持ち帰ったことを知らせている。抱卵期には、持ち帰った獲物を巣には持ち込まない。雄はヘビを持って飛び立ち、近くの林の中へ入って行った。すぐに雌が巣から立ち上がり、雄の後を追って林へと消えた。そこで獲物を雌に受け渡した後、雄は巣に戻って抱卵を開始した。雌が獲物を食べている間、雄が交替して抱卵を受け持つのだ。

今のところ順調に繁殖が続いているが、まわりの見晴らしがいいだけに多くのリスクがある。人間の接近によって営巣を放棄したり、カラスや他の猛禽に卵や雛を取られたりする可能性が高くなる。また、鉄塔は定期的にヘリで飛行して点検しているので、ヘリの接近でクマタカが驚いて巣から飛び出してしまうかもしれない。その際慌てているので卵を蹴り落としてしまう危険性もある。

そんなことを考えている時、偶然にも巡回のヘリが爆音を立てて近づいて来た。クマタカがどのような行動に出るだろうか? ヘリは鉄塔の電線に沿って低空を飛行して近づいて来る。クマタカが営巣している鉄塔の間際を飛行して通り過ぎて行った。クマタカはじっと伏せてヘリが通過するのを見送った。

今回は何事もなく終わったが、ヘリが鉄塔の所でスピードを落としてホバリングすることがあれば、クマタカの行動は違ったものになっていただろう。いろんな心配は尽きないが、繁殖が成功することを祈って今後も静かに観察を続けて行きたいと思う。



鉄塔に営巣するクマタカ。
雄がヘビを持ち帰った。
近くの林に入り、雌に獲物を受け渡した後、雄が抱卵に入る

子カモシカに体色の変化

オレンジ色のカモシカは、これまでに4回出産している。父カモシカと同じグレーの子カモシカばかりが生まれている。オレンジ色をした子カモシカは生まれていない。

昨年の子カモシカもグレーであった。昨年11月ごろまでは。その後、オレンジとは別に過ごすようになってしばらく姿を見せなかった。2月になって久しぶりに子カモシカが現れ、オレンジと合流して一緒に行動しているのを見た。11月までの全身グレーの体色から少し毛色が変わっている。肩から頭までが淡い色で白っぽくオレンジがかった毛色になっている。肩のあたりを境にして、頭側と尻側で明確に毛色が違っている。他のカモシカにはない特徴的な体色なので、この子カモシカは個体識別して今後追跡できそうだ。

この子カモシカは、その後も時々オレンジの行動圏で過ごしているのを見かけるが、オレンジと合流することなく別々に生活している。体色は徐々にオレンジ味が強くなっているように思う。母カモシカのオレンジ色を受け継いでいるようだ。



ブロッケン現象に出会う

ブロッケン現象は、自分の影が霧などに映り、その影の周りを囲むように虹の光の輪が現れる現象だ。山岳地で見られていることが多いように思うが、実際には条件さえ合えばいろんなところで現れている。
度々見られるものではないが、僕はこれまでに3回以上は出会っているので、運がいい方なのかもしれない。山でブロッケンが出やすい条件は、朝や夕方など太陽高度が低い時に切り立った尾根に自分がいて、太陽と反対方向にだけ霧や雲が出ている時だ。

先日、と言っても1ヶ月以上前になるが、僕は切り立った尾根に立ち背後から朝の光が差していた。僕の前の谷間から霧が湧き上がってきた。霧が谷間を覆い始めた時、これはブロッケンがまもなく起きると直感した。カメラを手に取ろうとするが、カメラは望遠レンズを付けてプレートで固定しているので標準レンズに交換するには少し時間がかかる。今日はサブカメラを持って来ていない。iPhoneで撮るしかないと気付いた時、ブロッケンが現れていた。

何枚かシャッターを切ってすぐにブロッケンは終わった。霧は薄く途切れ途切れだったので、すぐに風で吹き飛ばされてしまったのだ。しばらくの時間ではあったが、ブロッケン現象はいつも神がかり的なものを感じる。
タイミングさえ合えばいつでも見られそうでなかなか出会うことがない。次回はいつ現れてくれるだろうか?

後光差すブロッケン現象

ふくい野鳥フェア2019

日本野鳥の会福井県主催の「ふくい野鳥フェア2019」にて、弊社の須藤明子が「野鳥と人の共存」と題して公演を行ないます。

□詳細はこちら

■日時:2019年4月13日(土)14:30 ~ 16:00
■会場:福井県海浜自然センター 体験学習室1(TEL0770-46-1101)
■お問い合わせ:日本野鳥の会福井県(wbsj.fukui@gmail.com)