カラスの群れが出産直後の子ジカを襲う

5〜6月ニホンジカの出産シーズンだ。山を歩いている時、目の前の草むらにニホンジカの子供がうずくまっているのを見つけた。生まれて1〜2日くらいだろう。
草の中に丸くなって、大人しく隠れている。眠っているように見えるが、耳が周囲の物音を聞くために動いている。僕との距離は2m、いつ逃げ出そうかとタイミングを見計らっているのかもしれない。まだ早く走れるわけではないので、見つからないように動かないことが1番の安全策なのだろう。
少し離れたところから様子を見る。しばらくすると子ジカは立ち上がったが、頭は下げて草の中に入れたままだ。数十センチ移動して座った。
あまり長居をすると、母ジカが戻って来れないので、僕はその場を離れた。

別のところにも子ジカを連れて歩く母ジカの姿をが見られた。これから出産するお腹の大きな雌ジカもあちこちにいる。
十数羽のハシブトガラスが騒いでいる場所を双眼鏡で見ると、そこに雌ジカが立っているのが見えた。雌ジカは周囲に舞い降りるカラスを追い払おうと躍起になっている。
雌ジカのすぐそばに降りたカラスが草陰で何かをつついて食べている。出産直後の子ジカが犠牲になったのか、それとも胎盤を食べているのだろうか。
1時間以上が経った頃、雌ジカは諦めたのか少し離れたところに座り込んだ。カラスは入れ替わり立ち替わりしながら何かを食べ続けている。カラスが引っ張り出したその残骸は子ジカであることが確認できた。

このところカラスの群れが山の斜面に降りて騒いでいるのを時々見かけるので、出産直後の子ジカを狙っているのではないかと予想はしていたが、これでカラスが出産直後の子ジカを襲うことがはっきりとした。
イヌワシやツキノワグマだけでなく、カラスもまた子ジカにとっては脅威となっている。


オレンジカモシカ7回目の出産

山はすっかり淡い緑の新緑に覆われた。小鳥たちは巣造りや育雛で忙しそうに飛び回り、夏鳥たちは繁殖地にたどり着いてにぎやかに囀っている。
オレンジ色のカモシカは、今年も子どもを産んだ。先日12日に確認したのだが、臍の緒は乾燥して短くなっているので2〜3日前に生まれたと推測される。オレンジは12歳になり、7回目の出産だ。
子カモシカはオレンジの周辺を走り回って元気にしている。まだ足元はおぼつかないが、引っかかる灌木を振り払って進んで行く。
昨年の子カモシカは、生まれた日の夕方から雨となって3日間降り続いた時に死んでしまった。今年は出産後は良い天気が続いている。しかし、天気予報ではこれから雨となって2〜3日降り続く予報だ。
昨年は生まれてすぐの雨だったが、今年はすでに数日が経過しているので問題はないと思う。が、少し心配だ。

今日は雄のカモシカが現れ、オレンジ母子のところに近づいて来た。雄は子育てには全く関与しないので、発情期ではないこの時期に母子のそばに出てくることは少ない。オレンジに擦り寄って行くが、ほとんど相手にされなかった。顔を近づけて挨拶を交わした後、雄カモシカは足早に斜面を下って去って行った。


丘の上のアナグマハウス 4月21〜30日

巣穴のまわりにはいろんな動物がやって来る。今回新たにハクビシンとニホンリスが出現した。巣穴を利用するタヌキやアナグマは、巣穴に興味津々で、覗き込んだり少しずつ奥へと入ってみたりしながら、におい付けをして去って行った。
巣穴は、カマドウマが集団でねぐらにしている。夕方暗くなると穴から出て、四方八方へと分散して行く。明け方には巣穴へと戻って来る。これが毎日繰り返されている。
普通にビデオを再生している時には、カマドウマに気づかなかったのだが、50倍速くらいで早回しすると、続々と巣穴から出て来たり帰って行くのが見えてくる。
カマドウマを狙って、コウモリが毎日のようにやって来る。カマドウマを捕食しているのはコウモリだけでなく、タヌキも食べていた。
タヌキは4月18日にも現れた、1頭が左後脚を怪我している夫婦だ。恐る恐るではあるが、体全体が隠れるまで巣穴に入って様子を見ていた。


丘の上のアナグマハウス 4月16〜20日

4月16〜20日の間にキツネ・アナグマ・ノウサギ・タヌキが巣穴近くに現れた。
キツネは4月11日の個体と同一で、右前脚を怪我している。
アナグマは、夜と朝に出現した。巣穴のまわりに下腹部を擦り付けるようにマーキングし、巣穴を覗き込んで去って行った。
ノウサギが丘の上を通過した。
夫婦と思われるタヌキが交互に巣穴に入ってしばらく様子を見て去って行った。巣穴をかなり気にしている。


丘の上のアナグマハウス 4月11〜15日

伊吹山山麓にあるアナグマの巣穴を無人カメラで観察。
巣穴は10mほど離れたところにもう1つあって、近くにはさらに2〜3ヶ所、崩れて塞がりかけている穴もある。これらの穴は地中で繋がっている。
アナグマは、地中深く掘り進んだ穴の中で冬眠をして子どもを産み育てる。
今年は利用しなかったが、アナグマはもちろん、巣穴を利用するキツネやタヌキも時々様子を見にやって来る。

4月11〜15日の間にヤマドリ・キツネ・カケス・ニホンジカ・ネズミ類・アナグマが巣穴近くに現れた。
キツネは巣穴が気になる様子で、中を覗き込んで去って行った。右前脚を怪我している。先端部分が切断されている。ニホンジカの有害捕獲のために仕掛けられたくくり罠にかかり、暴れまわって脚先がちぎれて、どうにか抜け出して来たのだ。近年、こうした脚先のない野生動物をたびたび見かけるようになった。
アナグマは朝明るくなって現れた。巣穴を気にして覗き込んでいた。