Vol.25 アフリカ撮影記 Ver.2

ブッシュの陰からこちらの様子をうかがう2頭のキリン

飛行機は予定通り早朝6:30分にヨハネスブルグに到着した。撮影機材が無事に到着しているかどうか気掛かりだ。

荷物が出てくるターンテーブルの前で待つが、我々の荷物は出てこない。やはり荷物は来なかったのかと不安になり始めた時、ターンテーブルから少し離れた床の上にたくさんの荷物が置いてあるのに気がついた。荷物の山の中から次々と我々の荷物が発見された。荷物だけが早い便で到着して、ここに置かれていたようである。とにかく全部の荷物がそろった。

キャンピングカーを借りて、陸路でジンバブエに向かった。今日中にはジンバブエの国立公園までたどり着き、そこでキャンプの予定である。南アフリカは通過だけなので現金を使うこともないと思い、両替をせずに走り出した。出発前に問い合わせたツアー会社の担当から、クレジットカードがほとんどのところで使えることを聞いていた。

レンタカー会社でもらった地図だけを頼りに、目的地まで行けるのかどうかかなりの不安がある。なんせ道路地図とはいえ、日本で見るような詳細な地図ではないのだ。道路地図の1ページに日本全土が入るくらいの縮尺の地図である。

案ずるより産むが易しで、走り出してみると意外となんとかこの地図で走っていけるものである。縮尺が大きいので、相当走ったと思って地図を見ても地図上ではほんのわずかしか移動していないのだ。ジンバブエとの国境までは予想以上に時間がかかりそうだ。

しばらく走ると前方に料金所が見えてきた。両替しなかったために南アフリカの通貨(ランド)がない。以前に南アフリカに来たことがあるスタッフの一人が、残った小銭を持っていたのでそれでなんとか切り抜けた。ほっと安心したのもつかの間、また料金所がやって来た。南アフリカの通貨はさっきの料金所で使い果たしてしまった。クレジットカードも使用できないと言う。

どこかの街まで引き返して両替をするかどうか検討することにした。しかし、悩んだ末にVISAカードが使えないはずはないだろうという結論に達した。もう一度、今度は違うレーンで挑戦してみることにした。使用できるかどうか分からないが、とにかくカードを機械に通して試してくれた。不思議なことに今度は使用できた。

夕日が山に沈もうとしているというのに国境まではまだ遠い。道路脇でキャンプするのは非常に危険である。どこでキャンプしていいのかも分からないまま、あたりは暗くなり始めた。100kmほど走ったところにベンレーベンという私設の動物保護区があるのを地図で見つけた。ここなら安全にキャンプができるかもしれない。

日はとっぷりと暮れて、ようやくベンレーベン動物保護区の入り口に到着した。入場料の支払いにクレジットカードが使用できるように祈るしかない。カードOKと聞いてほっと胸をなで下ろした。

翌朝、水場にはたくさんの小鳥たちがにぎやかに囀りながらやって来た。僕はこののどかな動物保護区を散策してみたくなった。動物を探しながらゆっくりと車を走らせる。ベルベットモンキー・マングース・インパラ・クドゥなど、じっくりと見ることができた。2頭のキリンは近くの潅木地帯から我々の様子をうかがっている。徐々に細い木の後ろに入り、丸見えだが隠れているつもりらしい。

ベンレーベンを出発したのは午後になっていた。町へ寄って少し食料を買う。両替のために銀行を捜すが土曜日なので閉まっている。今日も国境の直前で日が暮れた。キャラバンパークを見つけてキャンプとなった。簡単な食事を取り、早めに眠った。

翌朝は、まわりを歩き回るホロホロチョウを見ながら朝食を取り、すぐに出発した。1日の予定であった国境越えに3日を要した。いよいよジンバブエ入りだ。