山も里もすっかり春めいてきた。クマが目覚める季節

気温が上がり雪解けも進んで、伊吹山も所々に雪が残るだけになった。もう少し雪の季節を楽しみたいところだが、季節は春へと着実に歩を進めている。マンサクやダンコウバイが、雪の解けた灰色の山に鮮やかな黄色い花を咲かせている。
雪がなくなるとすぐにフキノトウが出てくる。ちょうどいい具合のフキノトウが顔を出しているので、持ち帰って春一番の味と香りを楽しませてもらおう。


そろそろツキノワグマが冬眠から目覚めて活動を始める頃なので、少し山を散策して探してみる。冬の間に、ニホンジカが樹皮を剥がして食べた木が、白く痛々しい姿で立っている。その木の横にシカの角が落ちていた。昨年の春に落としてブッシュに隠れていたものが、草が枯れ雪に埋もれ、雪解けとともによく見える表面に出てきたのだ。長さ55cmとそれほど大きな角ではないが、太くてがっしりとした角だ。僕が拾った角で最も大きいのは40年近く前に拾ったものだ。もっと大きな角もあるのだろうが、これまでにこれ以上の大きさの角を見たことはない。


クマの食べ物となる植物の芽吹きはまだこれからだ。多くのクマはまだ眠っている。クマの姿を見ることはなかったが、昨年の秋に木に登ってドングリを食べた跡(クマ棚)がある木の下で、新しいクマのフンを見つけた。やはりクマは活動を始めている。

10日ほど前、クマの目撃情報があったと防災無線から流れていた。近年、市内全域のクマ目撃情報が度々放送されるようになったので、クマが増えたと勘違いしたりクマへの恐怖心を煽ったりしがちである。クマが残した痕跡、クマ棚やフンなどを注意深く観察していると、昔から山里では人間のすぐそばでクマが暮らしていたことが分かるのだが…。