子ダヌキたちはだいぶ大きくなった。毛色は茶色っぽくなり、目のまわりが黒っぽいタヌキ模様になっている。
10時頃に親ダヌキが巣穴の前に来ると、子ダヌキたちはすぐに巣穴から出て来た。親ダヌキについて歩く。巣穴から離れてどんどん歩いて僕からはブッシュで見えなくなった。しばらくすると子ダヌキだけが次々と戻って来た。最初はゆっくりと歩いていたが、巣穴まで7〜8mになると急に慌てて全力疾走で巣穴へ飛び込んでいく。子ダヌキにしてみれば、恐る恐る遠出をしたものの巣穴が見えると一刻も早く安全地帯に逃げ込みたくなるのだろう。その慌てぶりがなんともおかしくて、見ていると吹き出してしまいそうなのだが、子ダヌキたちは真剣そのものだ。
親ダヌキが戻ってくるたびに、子ダヌキは親ダヌキについて遠出する。そしてまた慌てふためいて戻って来るのだった。こんなことを繰り返しながら、子ダヌキたちは日に日に行動範囲を広げていくのだろう。