伊吹の野生/ほ乳類

町内で確認されているほ乳類は6目15科22種です。特別天然記念物のカモシカや、西日本では絶滅の危機のあるツキノワグマなどの貴重な種も生息しています。奥山で昼間に活動している種が、集落近くの里山では夜間に活動していたり、人間と動物が同じ山道をわずかな時間差で利用するなど、人間と動物が上手に棲み分けています。

確認されたほ乳類
No. 種名 種の保存法 環境省RDB 滋賀県RDB(2010) 文化財保護法
1 ジネズミ
2 ヒミズ
3 コウベモグラ 情報不足
4 ニホンザル
5 ノウサギ
6 ニホンリス
7 ムササビ
8 ヒメネズミ
9 アカネズミ
10 ハツカネズミ ※2 準絶滅危惧種
11 ツキノワグマ
12 アライグマ ※2
13 キツネ
14 タヌキ
15 テン
16 イタチ
17 アナグマ
18 ハクビシン ※2
19 ノネコ ※2
20 イノシシ
21 ニホンジカ
22 カモシカ 絶滅危機増大種 特別天然記念物
ツキノワグマ
春先には新芽を、秋には木の実を食べるために、木に登っている姿がよく見られる。ブナや天然杉などの大木の樹洞や岩穴で越冬し、冬ごもり中に2頭の仔を産む。西日本では個体数が減少し、絶滅が危惧される。
カモシカ(特別天然記念物)
落葉広葉樹林や針広混交林に生息する。早春、伊吹山斜面の草地で若芽を採食する姿が見られる。積雪に強く、大きな季節移動をせずに、なわばりを持って定着する。5月頃に1頭の仔を産み、1年間は母親と共に生活する。
テン
里山から奥山の森林に生息。ネズミ類、ノウサギなどのほ乳類、鳥類、は虫類の他、マタタビや柿などの果実類も好んで食べる。
キツネ
タヌキと共に里山を代表する動物。ネズミ類やノウサギ、コクワなど果実も食べる。春に巣穴で平均4頭の仔を産み、夏まで家族生活する。
ニホンリス
落葉広葉樹の林を好んで生活する。秋には、林内で忙しく木の実を運ぶ姿が見られる。琵琶湖以西では個体数が減少してきている。
イノシシ
堅くて丸い鼻先を使って、地下茎などを掘り出して食べる。幼獣は、ウリに似た縞模様があり、ウリ坊と呼ばれる。
ノウサギ
巣穴を掘らず地面の穴を利用し、年に数回出産する。夏毛は褐色で、冬毛は積雪地方では白色に変わる。伊吹町では、冬に白色と褐色の両方が見られる。
アナグマ
単独で行動するが、トンネル状の巣穴では、数頭が一緒にいることが多い。ミミズ、昆虫、モグラなど土壌動物を補食し、果実や草の芽なども食べる。
外来種(アライグマ/ハクビシン)
アライグマ(上)とハクビシン(下)。これらの外来種が伊吹町内に生息している。ハクビシンは個体数もかなり多いと考えられる。在来種に影響を与えないように管理が必要である。

ほ乳類の調査は、動物を直接観察するだけでなく、足跡・フン・食痕・獣毛などの痕跡や死体からも生息状況を知ることができます。カメラと赤外線センサーを組み合わせた自動撮影システムをけもの道に設置すると、夜行性の動物など直接観察しにくい動物の確認ができます。