レパードが木陰になったアリ塚の上で寝そべっている。目を閉じて眠っているだけのように見えるが、実は獲物が現れるのを待っているのだ。
インパラの群れが近づいて来た。レパードは両眼を開き、頭を低くしてインパラの動きを見つめている。しかし、この時はインパラがレパードから少し離れたところを通り過ぎたので攻撃しなかった。
それから2時間ほど経った頃、レパードが動き出した。地面に這いつくばるような姿勢のままアリ塚を降りて窪みに入った。前方に群れから離れた1頭のインパラがいる。インパラが頭を下げて草を食べている間にレパードは歩を進め、インパラが頭を上げると同時に動きを止めて待機する。レパードは、インパラの手前の倒木の陰に身を潜めた。レパードとインパラの距離は十数メートルくらいだ。レパードは今にも飛び出しそうに構えてタイミングを計っている。その時、インパラがレパードに気づき、頭を高く上げてレパードを覗き込んだ。この瞬間にレパードが襲い掛かるかと思ったが、レパードはタイミングを逸して襲い掛かれなかった。一呼吸置いてインパラは一気に駆け出し逃げ去った。
その後も2回、インパラとイボイノシシを狙ったが、距離を詰める前に気づかれて狩りは失敗した。狩りの成功の裏には、その何倍もの失敗があるのだ。