昨年に続いて今年も出産するのではないかと期待した通り、オレンジカモシカは子カモシカを連れて現れた。子カモシカは、母親にぴったり張り付いているかのように寄り添っている。母親も子カモシカの様子を見ながらゆっくりと歩いている。
カモシカの子供はなんともいえず可愛らしい。近くで出会ったなら連れて帰りたい衝動に駆られてしまうだろう。かなり昔のことだが、へその緒がついた生まれて間もないカモシカの子供に山の中で出会ったことがある。詳細はネイチャーエッセイVol.35を見てください。その子カモシカは僕を母カモシカと間違えて、僕の行くところへついてくる。なんて可愛い動物なんだと思ったものだった。
今日の子カモシカは、遠く離れたところから見ているのだが、可愛らしさは十分に伝わってくる。しかしこの小さな可愛らしい動物にとって、野生の世界には危険がいっぱいだ。少し離れたところでは、朝からツキノワグマが歩き回っている。鼻先を上げて匂いを嗅ぎながら何かを追跡している。
子カモシカを捕食する動物にはツキノワグマやイヌワシ、キツネなどがいる。うまく危険を回避して生きのびてくれることを祈らずにはいられない。