野生動物の世界を伝える
人と野生動物の共存について提案する
イーグレット・オフィス

野生動物の保護と管理
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…


All the things begin from Golden Eagle!
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野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…
雪とともに低標高地へと移動していたニホンジカが、雪解けとともに高標高地へと移動している。雪解けの早い南斜面や急傾斜地では、山肌があちらこちらで露出している。シカたちは素早くそういうところへ進出して、雪に埋もれていた植物を食べている。
一方、積雪期も山を下ることなく生活していたカモシカは、同じような植物食のシカが戻って来たことで迷惑しているのかもしれない。
オレンジカモシカは、そんなシカをどのように思っているのか分からないがじっと見つめていた。そしてふと我に返り、雪を舐めて喉を潤し松葉を食べていつもの生活に戻った。
同じエリアで生活するカモシカとニホンジカ。
シカの生息密度は高く、カモシカの何倍もの数がいる
県道を車で走っていると道路脇の雪の上にカモシカが立っていた。自動車が時折行き交う道路を横断して対岸の山へと行きたいらしい。集落内を通ってここまで出てきたのだ。道路を渡るとその向こうには川がある。川を渡ると林になっていて山の斜面に続いている。そこまで行くと安全地帯だ。
車を恐れているようには見えないので、通り過ぎてからUターンしてカモシカのところへ近づいて行った。スピードを落として近くまで行くと、カモシカは危険を感じたらく慌てて向きを変えて走り去った。
何台か車が通り過ぎても気にしていなかったのだが、スピードを落として近づくと恐怖を感じている。動物たちは人間の動きをよく観察している。自分に興味を持つ人間は危険だと思っている。田や畑で農作業をしている人の近くに鳥や哺乳類が出てくることはあるが、撮影しようと構えると動物は逃げて行くことが多い。自分に興味を持たれたことを素早く感じ取って逃げるのだ。
今回のカモシカも、道路を渡るタイミングを見計らっているうちに、このカモシカに興味を持つ人間が現れて一旦引き返さざるを得なくなったのだ。
雪に足を取られながら逃げるカモシカ
冬型の気圧配置が緩み、高気圧に覆われてきたので山に出かけた。早朝は快晴だったが、目的の場所に到着した頃には霧に覆われて視界が全くなくなってしまった。こういう時は平地では晴れ間が続いていて、山のそれも一部分だけに霧が発生していることが多い。しかし、自分のまわりは白一色で何も見えないので、世界中がこのような天気であるような気がしてくる。
マイクには霧の水蒸気が付着して霧氷となった。
太陽が当たらないので気温は上がらない。撮影地に到着してからは、動かずに待ち続けるので寒さがこたえる。南極でも使えそうな嵩高い羽毛服を着込んで霧が晴れてくれるのをひたすら待つ。
霧が晴れるのをひたすら待つ。
14時ごろ、今日の撮影は諦めて下山しようかと思った矢先、あたりが少し明るくなり、霧が一部分だけ晴れた。対岸の雪上にカモシカらしい足跡がある。足跡の先にカモシカ1頭を発見した。カメラをカモシカに向けようとした時には再び霧に覆われてしまった。
その後も霧は晴れず、耐寒訓練の1日だった。
先日の雪で山は1m以上の積雪になった。標高の高いところにいたニホンジカは、ほぼすべて雪の少ない山麓へ下っている。今は雪に覆われて真っ白な斜面にシカの姿はない。
午後になって、山麓への移動が遅れた1頭の雌ジカが現れた。山麓へ向かっているのだろうか?結構慌てている様子だが、脚が雪に埋もれて思うように身動きが取れずに難航しながら林の中へ入って行った。
一方、カモシカは、冬になっても移動することなく雪山で暮らしている。雪の上に出た枝や樹皮を食べて冬を乗り越える。
オレンジカモシカも少しだけ姿を見せてくれた。今日は子カモシカを連れていない。別々に行動しているようだ。
カモシカは、立ち上がって高い位置の枝や樹皮を食べる
雪のない年末年始だったが、ようやく本格的な雪が降った。小鳥たちが雪に覆われた山から里へと降りて来た。集落周辺の林や建物の陰など、雪が積もりにくい場所で必死に採食している。
寒波が去った穏やかな今日は、鳥たちも活動的に見える。凍った湖にもわずかな水面を見つけてカモたちが集まっている。
降雪中は姿を見せなかったモズが、晴れ間とともに家の周りに出て来た。太陽の光を浴びて、少し動き出した昆虫を見つけては食べている。獲物は主にカメムシである。
雪の上には昨夜歩いたキツネの足跡が続いている。雪の上をよく見るとテントウムシが歩いている。よくぞ冷たい雪の上で活動しているものだ。夕方になって太陽光が弱まる前に、冬眠に戻れるいい場所に辿り着かなければ生き延びることはできないだろう。
今日は動物たちが元気を取り戻したかのような穏やかな冬の晴れ間だった。
冬の晴れ間に動き出した動物たち。雪上のキツネの足跡。凍結を免れたわずかな水面に集まるオシドリ、オオバン、キンクロハジロ。カメムシを捕食するモズ
自然と共に「伊吹の野生を撮り続けて」と題して、写真家須藤一成のエッセイ連載が滋賀民報で始まります。月1回、年12回の連載となります。お楽しみに!
■滋賀民報
http://shigaminpo.com/
■2017年1月15日号の掲載記事
http://shigaminpo.com/BN/img_BN/201701154.png
弊社代表であり写真家でもある須藤一成が、「野生を撮る」と題して滋賀民報の取材を受けました。2017年1月1日・1月8日合併号に記事が掲載されています。
■2017年1月1日・1月8日合併号
http://shigaminpo.com/BN/20170101.shtml
■掲載記事
http://shigaminpo.com/BN/img_BN/201701016.png
オレンジカモシカは朝から子カモシカと一緒にいる。秋には子カモシカと別々に暮らしていたのだが、冬になって一緒にいるのを見ることが多くなった。
秋はカモシカの繁殖期だ。雄カモシカがオレンジにつきまとっているために、子カモシカは母親のオレンジから離れて生活を始めていたのだろう。
10日ほど前にこの親子を見たときには、子カモシカがオレンジのそばに近づくがなんとなくよそよそしい感じがした。親子はすぐに別々の方向で採食してはまた合流するといった具合だったが、今日は一日中一緒に座って休息したり採食したり離れずにいる。
子カモシカは単独で十分生活していけるようになっている。次回出会った時には、この親子は一緒にいるのか別々にいるのか気になるところだ。
オレンジカモシカ親子の再会
謹賀新年。新しい年が始まりました。
今日は今年初の山行だ。この冬はまったくと言っていいほど雪が積もらない。伊吹山は標高1,000mあたりまでがうっすらと雪化粧する程度である。
ニホンジカは雪が積もると山麓部へと降りて行くのだが、雪がないので山頂近くにまだたくさんいる。ニホンジカも今日が今年初の観察だ。
運良くイヌワシが近くに出現した。今年の初イヌワシだ。イヌワシの飛翔はいつ見ても華麗で格好いい。
獲物を探して斜面すれすれを飛行したり上空でホバリングをしたりと目まぐるしく飛び回った。
ブッシュや草が雪に覆われると獲物を発見しやすいのだが、今冬のように雪がないと獲物探しも大変だ。
暖冬というのはイヌワシにとって厳しい冬なのだ。
イヌワシの華麗な飛翔
福井県獣医師会のワークショップである野生動物・自然環境保全事業研修会に弊社より須藤明子が参加、「野生動物の守り方~生物多様性保全を目指す取り組み~」と題して講演を行います。
■主催:公益社団法人福井県獣医師会 野生動物・自然環境保全事業委員会
■日時:2016年10月30日(日)13:30~16:00
■会場:アオッサ 706号室
■お問い合わせ:0776-28-1244