野生動物の世界を伝える
人と野生動物の共存について提案する
イーグレット・オフィス
野生動物の保護と管理
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…
All the things begin from Golden Eagle!
イーグレット・オフィス
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…

巣の上に立っている雌親
日本のイヌワシよりも少し大きいマーシャルイーグル。獲物はスティーンボックやギニーフォール、1mほどもあるオオトカゲなどかなり大きな鳥獣や爬虫類などを捕食する。2年に1回くらいのペースで繁殖している。
ヒナの巣立ちは10月初め頃が多い。今回見つけた2巣のうちの1巣には巣立ち間近な雛がいた。別の1巣は繁殖の開始が何らかの理由で遅れたらしく、まだ雌親が巣に座っている。抱卵中なのか小さなヒナがいるのか、巣を見上げて見ているので中の様子は分からない。
3時間ほど経って、雄親が獲物を運んで来た。ほとんど骨だけになった鳥類の残骸だ。雄が去った後、雌親は獲物の肉片を引き裂いて給餌を始めた。ヒナの姿は全く見えないが、孵化後数日程度の小さなヒナがいるようだ。
その後も雌親は抱雛したり巣の上に立ったりを繰り返している。それから10日ほど経った今日は、ヒナが少し大きくなったのと暖かいので、親鳥は巣から離れた木に止まっていた。しかし、まだヒナの姿は見えない。

アリ塚の上で休息しながら獲物を待つ
レパードが木陰になったアリ塚の上で寝そべっている。目を閉じて眠っているだけのように見えるが、実は獲物が現れるのを待っているのだ。
インパラの群れが近づいて来た。レパードは両眼を開き、頭を低くしてインパラの動きを見つめている。しかし、この時はインパラがレパードから少し離れたところを通り過ぎたので攻撃しなかった。
それから2時間ほど経った頃、レパードが動き出した。地面に這いつくばるような姿勢のままアリ塚を降りて窪みに入った。前方に群れから離れた1頭のインパラがいる。インパラが頭を下げて草を食べている間にレパードは歩を進め、インパラが頭を上げると同時に動きを止めて待機する。レパードは、インパラの手前の倒木の陰に身を潜めた。レパードとインパラの距離は十数メートルくらいだ。レパードは今にも飛び出しそうに構えてタイミングを計っている。その時、インパラがレパードに気づき、頭を高く上げてレパードを覗き込んだ。この瞬間にレパードが襲い掛かるかと思ったが、レパードはタイミングを逸して襲い掛かれなかった。一呼吸置いてインパラは一気に駆け出し逃げ去った。
その後も2回、インパラとイボイノシシを狙ったが、距離を詰める前に気づかれて狩りは失敗した。狩りの成功の裏には、その何倍もの失敗があるのだ。

頭部を勢いよく振って水を吹き飛ばす
水面に首から上だけを出してハイエナが水を浴びている。今日はよく晴れて暑くなって来たので、水を飲むついでに水に浸かって暑さをしのいでいるのだ。頭を水中に突っ込んではザバッと上げてブルブルっと水を吹き飛ばす。
一旦水から出たかと思うとまた深みへと進んで水を浴びる。そのうちに水中へと潜ってしまい姿が見えなくなった。水面には波紋だけが残っている。数秒後、水面に頭を出した。耳に水が入りそうだが、入ったとしても勢いよく頭を振って水を吹き飛ばすので耳の中の水も吹き飛んでしまうのだろう。
水を滴らせながらさっぱりとして歩き去った。

群れで水を飲む
水を飲みにやってくる草食動物たちは、ものすごく警戒しながら水辺に近づいて行く。立ち止まってまわりの様子を伺いながら少しずつ前進する。もう頭を下げれば水が飲めるというところまで来ていても、安全が確認できなければ水を飲まずに引き返してしまうこともある。頭を下げて水を飲むことは非常に危険な体勢であるらしい。
この水を飲むという行為は、草食動物だけではなくライオンにとってもかなり神経質になることのようである。ライオンの群れが水を飲んでいるときに、何かに驚いて一斉に水場から離れたことがあった。特にまわりで何かが起こった訳ではなかった。ライオンの近くにいた鳥は何のアクションも起こさなかった。ライオンの警戒心が高まっていたために、何気ないことに過敏に反応したようだった。
ライオンでさえも、水を飲むときは無防備で危険を感じているようだ。

群れで行動し、じゃれあってよく遊ぶ
Wild Dog、その名の通り野生の犬である。飼い犬と同じように、お互いに噛み付いたり押し倒したりと遊びに余念がない。彼らは引き締まったスリムな体と常にまわり警戒する緊張感を持っている。この緊張感が野生動物を魅力的にしているのだと思う。
彼らは複雑なまだら模様の体色をしている。個体ごとにこの模様は少しずつ違うから詳細に記録すれば個体識別も可能だろう。このまだら模様がなんとも美しい。Wild Dogのもう一つの魅力である。

雛は僕を覗き込み、親鳥は目を瞑ってキーと鳴く
今回初日にこの大型のフクロウに会ってラッキーと思っていたのだが、今日は2回も出会った。どちらもタカの古巣を利用したと思われる木の上の大きな巣に、巣立ち間近の雛1羽と親鳥1羽がいた。どちらも同じシチュエーションなので、車で走り回っているうちに同じ巣を違う角度から見ているのではと一瞬考えてしまった。その上行動もほとんど同じだ。雛は僕のことが気になるらしく、首を伸ばして頭を傾げてこっちを覗き込んでいる。親鳥は目を瞑り、時々キィーと小さな声で鳴いている。どちらの親鳥もこのように鳴いているので何か意味があるのだろうが、僕には理解できない。
親鳥も雛も瞼が鮮やかなピンク色をしている。まるでおどけた化粧をしているように見えるのだが、これもまた特徴的でかっこいい。

今日は早朝から運良くライオンに出会った。数頭のライオンが少しずつ間隔を置いて一直線に歩いている。その方向には池がある。池に到着するとすぐに水を飲み始めた。数分間かけて水を飲んだ後、そこに座り込んだ。群れの構成は、オスが2頭にメス3頭、子供が2頭の合計7頭だ。
しばらくして1頭の雄ライオンが立ち上がりゆっくりと歩き始めた。まっすぐにこちらに向かっている。望遠レンズ越しに見ていると、もうライオンの顔が車の窓から入って来そうだ。慌てて肉眼で確認するとライオンは数メートル先だった。もう目と鼻の先だ。車の中とはいえ少し緊張する。ライオンは僕の正面で立ち止り、車の中の人間を確認するように見ている。キョロキョロとまわりに止まっている車も確認してからまた歩き始めた。
ライオンは少し先で座った。そこでもまた行き来する車を1台1台確認するように見ている。国立公園内のライオンは人間を気にすることなく、空気のような存在として無視していることが多い。今日のこのライオンの行動は、特定の人間を探しているように僕には思えた。その人間が現れた時、このライオンはどのような行動をするのか?想像は膨らむばかりだが、この行動を説明できるような出来事は起こらなかった。
飛行機の旅を無事に終えて、今日からクルーガー国立公園を隈なく走り回って動物を探す。隈なくといってもクルーガーは日本の四国ほどの広さがあるので見て回れるのはほんの一部分だけである。

ファラボルワゲート。今回の大半はここから国立公園に入場することになる
イヌワシの仲間のWahlberg’s Eagleがせっせと近くの木から巣材の枝を折り取って巣へ運んでいた。Wahlberg’sは9月に入ると渡って来て繁殖を開始したばかりだ。
Tawny Eagleの巣では、巣立ったばかりの幼鳥が近くの枝に止まって親鳥が獲物を持ち帰るのを待っていた。大型のAfrican Whitebacked Vultureは、抱卵や育雛期が長いので、まだ育雛中の巣が多い。日中は日差しが強く結構暑くなって来たので、親鳥は巣の上に立って雛のために日陰を作っていた。
滅多に見れないGiant Eagle Owlが木に止まっているのを発見した。枝葉に隠れてスッキリと姿が見えないのが残念だった。
乾季も終盤になって水場が干上がっているところが多くなっているせいか今日は動物との出会いが少なかった。

巣材を運ぶWahlberg’s Eagle

育雛中のAfrican Whitebacked Vulture。雛に日陰を作っている
上空から見るとシカに食い荒らされて草地がパッチ状になっているのがよく分かる。以前は膝から腰あたりの高さまで植物に覆われていた草地が、今では背の低い植物がパッチ状に生育しているだけになっている。シカが日中に隠れている林の中は草地以上に林床の植物がなくなっている。数十頭のシカが毎日食べているのだから、植物の成長がとても追いつかない。
ドローンで手軽に上空から観察や撮影ができるようになったのだが、野生動物にとってはかなり迷惑なものになりかねない。シカはこれまで遭遇したことのないドローンにかなり警戒している。100mほどに近づくとドローンのプロペラ音に反応して警戒し始める。さらに接近すると、ある程度の距離を保とうと少しずつ逃げ始める。
スピードを上げて一気に接近しようものならパニックになって逃げ惑う可能性がある。撮影するつもりが動物たちを追い回すことにならないように、自分自身も十分注意しなければいけない。ドローンの接近によって営巣中の鳥が営巣放棄したり、幼い子連れの獣などは親子がはぐれてしまったりすることも起こりうるからだ。
P.S. 今日からアフリカへ撮影に出発します。今回は1ヶ月あまりを南アフリカのクルーガー国立公園で過ごす予定です。多くの場所でWiFi環境があるので、アフリカの様子を随時発信する予定です。
ニホンジカは全国的に個体数が増えている。伊吹山でも同様で、かつてはその姿を見ることは滅多になかったけれど、現在は山の斜面に何頭ものシカをすぐに見つけることができる。
シカは、登山者など人間の山への出入りが少なくなる頃に、林の中から一斉に草地へ出て来て植物を食べる。数十頭ものシカが毎日のように夕方になると出て来るのだから、植物がほぼ食い尽くされて裸地化している場所があちこちに点在している。
80頭ものニホンジカが、林の中から草地に出て来た
このビデオの画角の中だけで80頭近いシカがいる。僕の視界の中にはこれ以外にも何十頭ものシカが見えているのだからすごい数だ。昨年の11月に撮影したものだが、その頃には毎日これだけのシカが夕方になると草地に現れた。今年はこれほどの大群ではないが、40〜50頭が毎夕現れる。
草地が裸地化したところは遠目にもよく分かる。外からでは分からない林の中でも、林床の草や低木が食べられて、大木を残して裸地化が進んでいる。人間が山仕事に入らなくなってから山が藪化していたのが、シカによって再び林内の見通しが良くなった。
シカの増加により、裸地化が進行し雨で土砂崩れが起こりやすくなったり、樹皮を食べられて植林木が枯れてしまったり、お花畑の花が減少したりと心配な面もたくさん出てきている。