子別れしたオレンジカモシカ

オレンジカモシカが岩場に座っている。子カモシカはまわりに見当たらない。
午後には雄カモシカが現れてオレンジカモシカと2頭で過ごしていたが、子カモシカは現れなかった。

子カモシカは親と別れて単独で生活を始めたようだ。食物が少ない冬に子別れとは、子カモシカにとってなかなか厳しいものだ。まだ遠くへは行かずに、この周辺にいることは間違いないだろうから、いずれ元気な姿を見せてくれるだろう。

母親であるオレンジカモシカは、子育てを終えてホッと一息ついているのだろう。座って休息している時間が長く、のんびりしているように見えた。



子育てを終えて寛ぐオレンジカモシカ。食欲は旺盛、木の枝をバリバリ食べる

絶滅危惧種?のノウサギ

雪のない冬が続いていたが、先週20cm、昨日は40〜50cm積もった。
雪が積もると動物たちの足跡がよく見えて山歩きの楽しみが増える。近年はテンとノウサギの足跡がかなり少なくなっている。特にノウサギは里山と呼ばれるような場所では足跡をほとんど見なくなった。
ところが今朝、集落のはずれの谷あいの田んぼに出てきた足跡を見つけた。そのあたりではもう何年も足跡を見ていなかった。その後も雪山を半日歩き回ったが、ノウサギの足跡を見ることはなかった。先週も雪の中をまる1日歩いたが足跡はなかった。
ノウサギは非常に減っている。場所によっては少なからず足跡を見ることがあるが、低標高部では知らないうちにノウサギが絶滅するのではと心配になるくらいだ。
ノウサギを主食としているイヌワシやクマタカにとっては死活問題だ。
160126ノウサギ足跡

廃屋に現われる動物に変化あり

雪のまったくない新年が明けた。こんな年も珍しい。いつもならクリスマスの頃にどかっと積もって根雪となるのだが…
山は時々白くなるが、里にはまだ積雪がない。

廃屋に仕掛けた自動撮影カメラには、春からずっとニホンジカばかりが撮影されて、他の動物は出て来なくなっていた。それが11月に入ってニホンジカの出現が徐々に減り、タヌキやテンが出て来るようになった。
12月末には、シカはほとんど出なくなり、廃屋は4頭のタヌキの寝床となっている。この4頭のタヌキは、いずれも疥癬にかかっている。体の半分以上の毛が抜けてなくなっている。寒さで冬を乗り切れるだろうか?
数日前、廃屋から100mほどのところに1頭のタヌキの死体があった。この廃屋に出入りしていたタヌキだろう。寒さに耐えられず死んでしまったのか、クマタカなどの捕食者に襲われたのか?死体の大部分は食べられ、頭と背骨と皮だけが残っていた。



廃屋に居着いた4頭のタヌキ

第15回 アニマルランドいきもの講座

わんぱーくこうちアニマルランドで開催される第15回 アニマルランドいきもの講座にて、「野生動物の守り方」と題して弊社の須藤明子がセミナーを行います。お気軽にご参加ください。

■第15回 アニマルランドいきもの講座
■日時:2015年11月29日(日)13:00~14:30
■場所:わんぱーくこうち展示学習室
■対象:小学生から大人まで
■定員:先着30名様
■参加費:無料
■申込先:わんぱーくこうちアニマルランド

キツネはバッタ捕りに夢中

正午頃、河川敷の木陰で休むキツネを見つけた。まもなくキツネは立ち上がってなにかを追いかけて食べ始めた。双眼鏡で見ると、それがバッタだと分かった。飛び立ったバッタを全力疾走で30mほども追いかけて空中で捕まえるアクロバティックな技も見せてくれた。

望遠レンズ付きのビデオカメラで撮影しているので、何がいるのだろうと通りかかった人が興味を持ってキツネのいるほうをのぞき込んだ途端に、キツネは人間に気付いて走り去った。



バッタを追う

ニホンジカの耳は集音マイクよりすごい

撮影地に到着してまもなく、足元の崖の下からニホンジカ数頭が警戒声を出して逃げて行った。僕がザックを降ろして機材を準備する音で気づかれてしまった。いつもできるだけ音を立てないようにしているのだが、わずかな物音でも近くにいるシカには気づかれてしまう。シカは無茶苦茶耳がいい。かすかな足音や物音には非常に敏感だ。しかし、同じ場所から聞こえる人間の声やくしゃみをそれほど気にしないのは不思議である。足音は危険だが、声はそれほど危険ではないとなぜか判断しているようだ。

オレンジカモシカは木登り上手

カモシカは時々木に登って葉を食べる。木に登ると言っても、垂直の木に登れる訳ではなく、斜めに張り出した細い灌木に少し登るだけだ。多くの場合前脚を掛けているだけのことが多いのだが、オレンジカモシカは4つの脚すべてを木の上に乗せて枝先の葉を食べている姿をよく見かける。

今日はこげ茶雄もオレンジの隣で前脚だけを木の上に乗せて採食していたが、脚を踏み外して地上に降りた。オレンジは少しずつ枝先へと進む。蹄をV字に広げて木の枝を挟んでいる。蹄では木の上で思うようには動けない。どうやって木から降りるのかと見ていると、木から飛び降りた。2mほどの高さであるからどうってこともない。
木から降りるには後ずさりするしかないと思ったのだが、無用の心配だった。



灌木の上で採食する

オレンジカモシカ母子と父カモシカ



オレンジカモシカ親子3頭が勢揃い

2ヶ月ほどオレンジカモシカの母子の様子を見ていなかったが、今日は母も子も元気な姿を見せてくれた。
今はカモシカの発情期なので、1頭の雄カモシカがこの母子につきまとっている。こげ茶色をした雄で、体や角の大きさからオレンジカモシカより1歳年下のようだ。

昨年もこのこげ茶雄がオレンジカモシカにつきまとっていた。昨年は小さくて子どもっぽく見えたが今はだいぶ立派になっている。子カモシカの父親はこのこげ茶雄と思われる。この時期だけ親子3頭が揃って生活している。

ニホンジカも今が発情期だ。雄は雌を追ってガサゴソとブッシュをかき分けて歩き回り、時々ピィーフューと甲高い声で鳴くので山は賑やかだ。

Black Eagleの営巣地近くにLeopardが出現

Black Eagleの巣がある峡谷

Black Eagleの巣がある峡谷

Black Eagleの育雛中の巣を発見した。遠いのと巣の半分くらいしか見えないので詳細はわからないが、巣のまわりの岩にたくさんの糞が付いていることや親鳥が出入りしていることから育雛中であることは確かだ。

この親鳥が巣から約500m離れた岩場に激しくコールしながら急降下を繰り返している。一旦その攻撃が終わっても、しばらくするとまた同じ場所に同じようにコールしながら急降下攻撃を繰り返す。これはその場所に普通ではない何かがいるはずだ。もしやそこにCrowned Eagleが止まっているのでは?

目を凝らしてその場所を双眼鏡で見続ける。何かが動いた。薄茶色っぽいものが動くが、遠いのと陽炎のせいで鳥か獣かさえも分からない。しばらくするとその物体が立ち上がり歩き出した。Leopardだ。そこで日向ぼっこして寝ていたようだ。少し歩いて今度は木陰で寝転がった。Black Eagleがまた攻撃を仕掛けている。巣に近づかれてヒナが襲われてはたいへんだ。
しかし、Leopardは動じることなく木陰に居座っている。夕方までLeopardは動かなかった。

明日は朝から帰国を開始しなければならない。Leshiba Wildernessのロッジを出発した後、30時間後には日本に到着だ。

山地帯の猛禽類探索

山に囲まれた高地、Leshiba Wildernessの風景

山に囲まれた高地、Leshiba Wildernessの風景

クルーガーN.Pを出発して350kmほど車で走ったLeshiba Wildernessというところに来ている。ここは標高が1,200mほどの高原にある。まわりは1,400〜1,600mほどの山に囲まれている。今日は雲が多いことも関係してかなり肌寒い。

アフリカでは山より平原の方が哺乳類も猛禽類も多いように思う。今回の撮影行の最後に山の猛禽の状況を見に来たのだが、あまりいないのではと少々不安だ。

到着した日の午後、周辺を散策すると、Rock KestrelやJackal Buzzard、そしてBlack Eagleのペアが飛び回ってくれた。大型猛禽類の獲物となるDassie(ハイラックス)やGuineafowl(ホロホロチョウ)はたくさんいるようだ。

翌日からLeshibaのエリアを広く見て回った。Wahlberg’s EagleやAfrican Goshawkなどが出現した。また、アフリカで最も大きくパワフルなAfrican Crowned Eagleのコールが何度か聞こえた。声は700mほど離れたところから聞こえているようだが、そのあたりを探しても姿は見つからない。かわりに木の上に造られた大きな巣を発見した。コールがその方向から聞こえたことや、巣の大きさなどからおそらくCrowned Eagleの巣であろうと思われる。

遠いのではっきりと確認できないが、現在は使用中ではないようだ。今の時期は抱卵から育雛の時期であるが、Crowned Eagleは2年に1回しか繁殖しないので、使用している確立は1/2である。
その後もこの周辺を観察するが、Crowned Eagleの出現はなかった。