廃屋に現われる動物に変化あり

雪のまったくない新年が明けた。こんな年も珍しい。いつもならクリスマスの頃にどかっと積もって根雪となるのだが…
山は時々白くなるが、里にはまだ積雪がない。

廃屋に仕掛けた自動撮影カメラには、春からずっとニホンジカばかりが撮影されて、他の動物は出て来なくなっていた。それが11月に入ってニホンジカの出現が徐々に減り、タヌキやテンが出て来るようになった。
12月末には、シカはほとんど出なくなり、廃屋は4頭のタヌキの寝床となっている。この4頭のタヌキは、いずれも疥癬にかかっている。体の半分以上の毛が抜けてなくなっている。寒さで冬を乗り切れるだろうか?
数日前、廃屋から100mほどのところに1頭のタヌキの死体があった。この廃屋に出入りしていたタヌキだろう。寒さに耐えられず死んでしまったのか、クマタカなどの捕食者に襲われたのか?死体の大部分は食べられ、頭と背骨と皮だけが残っていた。



廃屋に居着いた4頭のタヌキ

廃屋に集まるニホンジカ

このところ鬱陶しい梅雨空が続き、山へ入れなくてうずうずとしている。あのカモシカはどうしているだろうか?とか、あのキツネは、などと考えているといらいらとしてしまう。
雨の合間に自動撮影カメラのカードを交換する。このカメラは集落のはずれにある廃屋に設置してある。4月末頃からニホンジカが頻繁にやって来るようになった。それまでも1〜2頭が時々訪れていたが、シカは近年かなり増加しているからもっと出て来てもいいのではと思える程度だった。それが5月に入って多い時には一度に8頭もビデオに映っている。それらが何度もここにやって来るものだから記録用のカードが毎回一晩で満杯になってしまう。それも映っているのはシカばかりである。以前出現していたキツネやタヌキ・アナグマ・テンなどはまったく姿を現さなくなった。
シカがこの廃屋を訪れるのは何のためだろうか?シカの目的は、この廃屋に残された漬物桶だった。この家が放置されてから10年以上経っているから桶の中には何も残っていない。シカたちは桶にしみ込んだ塩分を求めてやって来ているのだ。ミネラル分も残っているのかもしれない。桶は艶が出るほどきれいになっている。シカは桶の下の土まで食べている。
ここに来るシカの数は、6月になって減少してきているが、一晩で記録カードが満杯になるのはいまだ変わってはいない。



廃屋に集まり漬物桶を舐める