くくり罠での錯誤捕獲が非常に多い。
近年のニホンジカの激増で、様々な方法でシカの捕獲が実施されている。その中で、くくり罠による捕獲は無差別的であり、仕掛けられたくくり罠の数も多いので、シカ以外の野生動物がたくさん犠牲になっている。
山の中で見つけたツキノワグマは、右前脚の手の半分から先がなくなっていた。右前脚は爪がないので幹を抱え込むようにして木を登っていた。
そのクマの左耳には黄色のタグが付いている。錯誤捕獲されてタグを付けて放獣した個体である。黄色いタグは滋賀県内で捕獲されたクマだと聞いた。
錯誤捕獲されたクマを殺さず放獣したが、手を締め上げたくくり罠で手の先端部はダメになってしまったのだろう。
このクマは一命をとりとめた。県によっては錯誤捕獲されたクマは殺すところも多い。
林道脇には点々とくくり罠が仕掛けられている。免許を持った人1人当たり30個まで罠を仕掛ける事ができる。1つの県の中でも何千個も仕掛けられているだろう。
捕獲目的のシカだけが捕まるのではない。くくり罠の輪の中に脚を突っ込んだらキツネやタヌキなど中型以上の動物は罠にかかってしまう。
仕掛けが作動する重さを調節できる罠も出てきているが、カモシカやクマなど同等以上の体重の動物には意味がない。相変わらず今でも脚先を無くしたキツネやタヌキの新たな個体が現れる。仕掛けの作動調節は、うまく機能しているとは思えない。走っているキツネの脚が仕掛けの踏み板を踏み抜く力と、静かに歩いているシカが踏み抜く力に違いはあるのだろうか?
以前アップしたくくり罠関連のものは以下にあります。
脚を失った野生動物。くくり罠との関係
丘の上のアナグマハウス 4月11〜15日