野生動物の世界を伝える
人と野生動物の共存について提案する
イーグレット・オフィス

野生動物の保護と管理
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…


All the things begin from Golden Eagle!
イーグレット・オフィス
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…
クルーガーN.Pでの撮影は最終日になった。
Tawny Eagle、Wahlberg’s Eagle、African Hawk Eagle、Brown Snake Eagle、African Fish Eagleなどいろんな猛禽と出会ったが、Martial Eagleほど神出鬼没な猛禽は珍しい。出会いの頻度は1日1回程度しかない。やっとのことで見つけても、一旦飛び立つと高く舞い上がってどこかへ消えてしまう。
平坦な地形なので双眼鏡で点のようになったMartialを延々と1時間以上も追えることが時おりあるが、やがて大空に吸い込まれるように消えてしまう。長時間空を見上げて双眼鏡で追い続けるのはかなり疲れる。なのに結果は、空の彼方に消えてそれっきり分からなくなってしまうのだから疲れも倍増する。
止まっていたところへ何度行っても同じあたりで見ることはほとんどない。ましてや同じ木に止まっていることなどまったくない。日本のイヌワシやクマタカなどの大型猛禽は、よく利用する木や場所があるのだが、Martialにはそれが見られない。Martialが棲んでいる場所では、どの木に止まっても広い視界が得られるので、決まった木や場所にこだわる必要がないのだろう。
こんなMartialが最終日には大サービスしてくれた。止まっているところから飛び立って上空を飛び回った後、再度遠くの木に止まり、また飛び立って今度は低空を飛行して見えなくなった。30分後、消えた付近をMartialが飛行しているのを発見。翼の欠損状況から同一個体であることが分かる。
今度は高空を飛び回ってやがて見えなくなった。これほどMartialの行動が繋がって観察できたことはない。なんとなくMartialの動きが見えてきた感じがあるのだが、もうクルーガーから出て次の場所へ移動しなければならない時間になっている。心残りだが、次の目的地へと車を走らせた。
快晴の暑い日が戻って来た。南部アフリカは、季節が日本とは逆なので今は早春である。夏鳥たちがちょうど渡って来る時期だ。
イヌワシの仲間のWahlberg’s Eagleも夏鳥としてやって来る。9月の初めまではめったに姿を見なかったが、数日前から急に目に付くようになった。昨日の夕方、枯木に止まるペアを見つけた。2羽が寄り添って止まり、頭や首の羽繕いをお互いにしあっている。求愛ディスプレイの一種と思うが、延々と続いてお互いにうっとりして気持ち良さそうだ。
今日の夕方、またその場所を通りかかると、同じ枯木に昨日とまったく同じようにペアが止まって羽繕いしあっている。午前中にここを通った時にはいなかったので、夕方になるとこの枯木にやって来るようだ。彼らも恋の季節なのだ。
このほほ笑ましい光景に、通りかかった多くの人たちが車を止めて観察していく。これほど多くの人たちに祝福されるWahlberg’s Eagleは他にはいないだろう。
このところすっきりしない曇り空が続いている。わずかな雨が時おり降っている。気温も下がり肌寒い。今日は朝から本降りになった。これまでこの時期にまともな雨に遭ったことがなかったのだが…
乾燥した大地は、風や車の走行、動物が走ることによっても激しく土埃が舞い上がる。少し雨が降ってくれると土埃が治まって助かる。細かな土埃は気をつけていてもどこからともなく侵入して、カメラもいつの間にか土埃をかぶってしまう。雨でこの土埃がなくなって快適だ。乾期が続くと多くの人が雨を待ちわびている。久しぶりの雨に歓声を上げる人もいるくらいだ。
雨は午後3時頃にやっと上がった。あちこちに水たまりが出来た。動物たちも久しぶりの雨を喜んでいるだろう。リクガメの一種のヒョウモンガメと思われるカメが道路に出て来た。車の轍に流れる水に顔を突っ込み、雨を待ってましたとばかりに水を飲み始めた。顔を付けたまま2分間ほども一気に水を飲んだ。そしてまた顔を突っ込み、長—い水飲みが始まった。よほど喉が渇いていたらしい。
長い乾期の終盤、多くのいきものが雨を待ちわびている。
乾期も終盤を迎えて、湖の水は干上がる寸前だ。わずかに残った水場が泥沼のようになっている。水を飲みにやって来る動物たちは、慎重に足元の様子を見ながら水に近づいている。胴体まで沈み込んでしまいそうになる。水に届きそうなところまで近づきながらも、今一歩が踏み出せずに別の場所から再度アプローチする。これを繰り返してようやく水に届くものもあれば、諦めて帰っていくものもある。
昨夕、1頭のインパラがこの池に落ちてしまった。もがいているが体勢は変わらない。立派な角を持つ雄なので危険は十分認識していたはずである。一瞬の判断ミスが命取りになってしまったのだ。
今朝、このインパラの様子を見に行くと、やはり脱出できずにそのままだ。死んでいるのか生きているのか分からないが、まったく動かない。顔が水に浸かっていないところを見ると生きているのかもしれない。しかし、もう動く力はない。
この池には数頭のワニがいる。やがてこのワニの餌食になってしまうだろう。ライオンやチーターだけでなく、こんなところにも危険は潜んでいたのだ。
今アフリカに来ている。アフリカに来て2週間が過ぎた。出発の準備や日本にいる間にこなしておかねばならないことに追われて「伊吹の野生だより」もしばらく休んでしまった。
一週間ほどジンバブエに滞在しDVD「ブラックイーグル」の舞台マトボ国立公園を訪れた後、今は南アフリカのクルーガーN.Pにいる。国立公園内の野生動物は人間をほとんど恐れない。日本でのような感覚でいると拍子抜けしてしまう。人間を恐れないにしても、あまりに近いとなんとなく嫌なものだと思うのだが、ほとんど気にしていない。
特に猛獣と言われるライオンやチーターは、人間の姿など目にも入らないようだ。車のエンジン音が近づいても人間の声が聞こえても、まったく振り向きさえもしない。「たまにはこっちも見てくれよ」と言いたくなってくる。集まった車の間を縫うように歩いたりもする。まるで車がそこらの樹木とでも思っているかのようだ。人間を気にして、それとなく遠ざかっていくのは草食獣のほうだ。
今回の撮影目的は猛禽類であるが、ライオンやチーターは気になる存在だ。昨日の夕方、ゲートの閉まる時間を気にしながら車を飛ばしていると、道路脇数十メートルのところでライオンが仰向けになって大爆睡しているのに出会った。荒野の真っ只中でこんなに無防備によく眠れるものだ。さすが百獣の王と呼ばれるだけのことはあると感心してしまった。
[管理者お断り] 須藤一成がアフリカにいる間、インターネットの接続環境の都合上、写真やビデオの添付は日本に戻ってからアップロードする場合があります。
土砂降りの雨の中、家の前の畑にニホンザルが現れた。当然のことながら畑の作物を目当てにやって来ている。さっそく畑の中で何かを食べ始めた。1頭が一抱えもある大きなカボチャを見つけて食べ始めた。まわりのサルたちも羨ましそうに少し距離を置いて見ている。右側から大きな雄ザルが近づいてくるのを見つけると、そのサルはカボチャを置いて立ち去った。大きな雄ザルはうまそうにカボチャにかぶりついた。
その雄ザルが去るとすぐに、別のサルが来てカボチャを食べ始めた。まわりを盛んに気にしている。人間への警戒と、仲間のサルの動きを見張っている。少し大きめのサルが近づいて来るのを見ると、おどおどとして落ち着きがなくなる。いよいよ逃げ出す時、さっとカボチャを抱え上げて、あたふたと薮の中へ消えた。
サルたちの行動を見ているのは楽しいものだが、農家の人たちの苦労を考えるとこのまま見過ごす訳にはいかない。何より問題なのは、このまま放っておくとサルたちの行動はますますエスカレートし、家の中にまで入って食物を取っていくようになる。このようなサルは有害獣のレッテルを貼られ、いずれ捕殺されてしまうことになる。
そうならないことを願いながら、僕はロケット花火を打ち上げてサルを畑から追い払った。
カボチャを食べる。逃げる時にはカボチャを抱えてあたふたと
先日の11日、クマが何度も出現したことはすでに書いたが、その日はイノシシについても新しい発見があった。
僕の背後十数メートルの所でガサガサッとススキをかき分けて何かが逃げる音がした。姿は見えなかったが、大型の獣であることに間違いはない。ニホンジカやカモシカなら警戒声を上げるのだが、声はまったくしない。おそらくクマかイノシシだろう。逃げた方向が見えるところまで行って探すが、もはや何もいない。さっき獣が逃げ出したあたりのブッシュの中に、ススキを刈り取って低く積み上げたようなものがあるのに気付いた。山歩きしている時に、このような植物を敷き詰めたものを何度か見たことがある。イノシシの休息所か寝床なのだろうと思って大して気にも留めなかったが、考えてみると毎日同じ場所で休息する訳でもないのに、こんなに大仰にススキを刈り集めて休憩場所を造るだろうかという疑問が湧いてきた。今回のものはススキが新鮮でかなり新しい。これは休息所ではなく巣ではないかと思い始めた。それも今使用しているものである可能性が高い。
この巣?を何度も横目でちらちらとチェックしながら他の動物を探して撮影を続けていた。16時過ぎに数頭の幼いウリ坊がこの巣?の上をうろついているのを発見。間違いなくこれは巣であった。1〜2分でウリ坊たちは巣の中へと入っていった。
巣はブッシュの中にあるので、ウリ坊たちは草の隙間からちらちらとしか見えず、うまく映像に捉えられなくて残念だった。しかし、イノシシの巣かどうかがはっきりしたのは良かった。
帰り際に巣の近くを通ると、ウー、ウーという威嚇のような声が聞こえた。もし親が戻って来ているとしたら非常に危険だ。いざとなったら飛び出して襲いかかってくるかもしれない。僕は足早にその場を立ち去った。
ススキ原の中にある巣とウリ坊
今日は朝から獣の姿が見当たらない。いつもならあちらこちらでニホンジカが採食しているのだが…
8時過ぎになって僕から80mほどのところにツキノワグマが現れた。僕がいることには気付いていない。そのうちに僕の臭いを感じて一瞬顔を少しだけこっちへ向けた。それでもクマは動揺することなく悠々と歩いて僕の視界から消えた。
朝からシカの姿が見えなかったのは、近くにクマがいたから姿を隠していたのかもしれない。子連れの場合はなおさらだ。クマが視界から消えてしばらくしてから、ニホンジカがぽつぽつと現れ始めた。採食したり座って休息したりとくつろいでいる。
15時頃に、今度は少し小振りな3〜4歳のクマが現れた。アリの巣を見つけては石をひっくり返してアリを食べている。移動しながら次々とアリの巣を襲っている。近辺にいるシカは早くからクマに気付いてクマの動きをチェックしている。クマが雄ジカの近くにきた時、雄ジカは立ち上がり少しバックしてクマと距離をおく。雄ジカはクマから目を離さないが、遠くへ一目散に逃げることもしない。クマとの距離が縮まるとまた少し後ろへ下がる。クマのほうはシカにはまったく興味を示していない。アリの巣を探して歩きまわっているだけだ。この状況でシカの成獣に襲いかかったところで軽くいなされてしまうだけだ。
今度は1歳の雄ジカとその母親のいる近くを通った。やはり30mほどの距離になるとシカの母子は少し移動してクマとの距離を保つ。クマのほうはせっせとアリの巣を探しながら斜面を登って行く。下方の沢に小さな2歳のクマが現れ、同じようにアリの巣を探しながら斜面を登って行った。
これら2頭のクマが見えなくなった頃、尾根近くで雄ジカが首を伸ばして警戒体制をとっている。その視線の先には大きなクマがいた。クマが近づくと雄ジカは後ろへ下がる。やがて雄ジカは尾根裏へと消えた。
今日はクマとシカのニアミスが何度もあった。しかし、シカの成獣を襲うことはかなり難しいだろう。特に今日のようにクマが斜面の下にいたのでは襲いかかることはまったく出来ない。もしシカの成獣を捕えるとしたら、クマは斜面の上側にいてシカがクマに気付かずにかなり近くまで来ることが必要だ。シカのほうもそのことは十分に心得ていて、30m程度の距離があれば逃げ切れると確信しているようだ。
クマの接近に少しずつ後退するシカ
子ダヌキたちはだいぶ大きくなった。毛色は茶色っぽくなり、目のまわりが黒っぽいタヌキ模様になっている。
10時頃に親ダヌキが巣穴の前に来ると、子ダヌキたちはすぐに巣穴から出て来た。親ダヌキについて歩く。巣穴から離れてどんどん歩いて僕からはブッシュで見えなくなった。しばらくすると子ダヌキだけが次々と戻って来た。最初はゆっくりと歩いていたが、巣穴まで7〜8mになると急に慌てて全力疾走で巣穴へ飛び込んでいく。子ダヌキにしてみれば、恐る恐る遠出をしたものの巣穴が見えると一刻も早く安全地帯に逃げ込みたくなるのだろう。その慌てぶりがなんともおかしくて、見ていると吹き出してしまいそうなのだが、子ダヌキたちは真剣そのものだ。
親ダヌキが戻ってくるたびに、子ダヌキは親ダヌキについて遠出する。そしてまた慌てふためいて戻って来るのだった。こんなことを繰り返しながら、子ダヌキたちは日に日に行動範囲を広げていくのだろう。
巣穴は子ダヌキにとって安全地帯だ。一目散に逃げ込む
数日前に訪れた時には、タヌキの巣穴付近での動きが少なかった。今日もあまり期待せずにやって来たのだが、昼前に巣穴から子ダヌキが現れた。親ダヌキが巣穴の前に行くと、すぐに全身が黒っぽいこげ茶の子ダヌキたちが巣穴から出てきた。3頭以上いるのは確認できたが、岩陰に見え隠れして正確な数は分からない。
子犬のような丸っこい顔をして非常にかわいらしい。すぐに巣穴へ逃げ込めるように、巣穴の入り口からほとんど離れない。親ダヌキは1〜2分で去って行った。子ダヌキたちはすぐに巣穴へと戻った。
子ダヌキたちの顔見せは1回だけだった。
親ダヌキに甘える子ダヌキたち