今年の春は樹木の芽吹きや花の開花が例年より一週間以上も早い。山の斜面のあちこちに、早くもタムシバが雪のような白い花を咲かせている。昨年は同じ場所で4月21日ごろが満開だった。タムシバの花はツキノワグマが冬眠明けに好んで食べるのだが、こんなに早く咲いてしまったら、多くのクマが冬眠から目覚める前に花が散ってしまうかもしれない。そんなことを考えながら山の斜面に目を凝らし、真っ黒いクマの姿を探す。
しかし、なかなか見つからない。あと一週間ほど経たないと、冬眠から目覚めて活動を始めているクマは少ないだろう。2時間ほど経ってようやく、タムシバの木に登るクマを発見した。このクマは撮影する前に木から降りて見えなくなった。
少し離れた別の沢で斜面の林床を歩くクマを発見。木々に隠れてすぐに見えなくなった。結局4時間ほどで2頭の出現だった。今年初めて見たクマとしてはまずまずの成果だった。例年ならタムシバが咲く頃にはもっとクマを発見できるのだが、今年は開花が早すぎた。多くのクマが目覚める来週には、すでにタムシバの花はないかもしれない。