1歳に満たない子カモシカが単独で現れた。体は小さく、角も細く短い。オレンジカモシカの子どもかもしれないが分からない。この子カモシカは、肩から首にかけての毛色が特徴的でオレンジがかった淡い色をしている。別の日に出会っても個体識別ができるだろう。
まだまだ小さな子カモシカが、冬を単独で乗り切る姿にはいつも感心させられる。あまりにも頼りなげに見えるからだ。
子カモシカが採食しているところに、ニホンジカの母子がやって来た。母ジカが子カモシカの立てる音に気づいて警戒している。そのうちに子カモシカを見つけて警戒を解いて歩き去った。続いてニホンジカの群れが来た。子カモシカは居心地悪そうにしながらも逃げることなく採食を続けていた。
1頭の母ジカが、鼻先を子カモシカのほうへ伸ばしてゆっくりと歩み寄って来た。母ジカは子カモシカに挨拶しようとしているのかもしれない。逃げたいけども逃げないで頑張る子カモシカのどぎまぎとした様子が何とも愛おしい。母ジカは鼻先が触れんばかりに近づいた後、そのまま後退した。
子カモシカは少し離れた岩場へと歩き、ホッとしたのか座って休息を始めた。
後日、この単独で暮らす子カモシカが、オレンジの子どもであることが判明した。オレンジと離れてから長いこと姿を見せなかったが、元気に暮らしていたのだ。