雛が孵化したのを確認してから19日が経った。遠くからの観察でもそろそろ雛の姿が確認できるのではないかと期待して、雌ワシが立ち上がって給餌を始めるのを待った。
雄ワシは巣から少し離れたところで、止まりや飛行を繰り返している。
8:55、雌ワシが立ち上がった。雛の白い綿毛が見えないか望遠レンズ越しに目を凝らす。雌ワシは明らかに給餌をしているが、巣材が盛り上がっていて雛の姿は見えない。
10分ほどで給餌は終わり、雌ワシは雛を保温するために座った。次の給餌を待つしかない。雛が巣の端に近づいて首を伸ばしてくれるとここからでも姿が見えるはずだ。
天気は下り坂。山は徐々に霧がかかり始めた。11時頃には巣は霧に覆われて見えなくなってしまった。巣の下100mまで深い霧に覆われた。今日の雛確認は諦めるしかない。
霧の多い伊吹山で、今年の巣はかなり高標高にあるので霧に覆われることが多い。霧の中では獲物の運搬も困難なのではと思えるのだが…
午後になって、霧の中から雌ワシが現れた。抱雛で強張った体をほぐすのと巣の外で糞をするために巣から出て来たのだ。周辺を少し飛行した後、旋回上昇して霧の中へと入って見えなくなった。巣へ帰って行ったのだろう。
霧で地形が見えないので方向感覚を失ってしまいそうだが、イヌワシは人間とは比べ物にならない鋭い方向感覚を持っているのかもしれない。