野生動物の世界を伝える
人と野生動物の共存について提案する
イーグレット・オフィス

野生動物の保護と管理
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…


All the things begin from Golden Eagle!
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野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…
朝からいい天気なので山に登って林の中を散策した。春先の新緑の林は気持ちがいい。夏鳥たちの声が賑やかだ。キビタキが近くの木にやって来た。鮮やかな黄色い背中がよく目立つ。時折小さな虫を捕まえて食べている。
沢を挟んだ対岸から岩が転げ落ちる音が聞こえてきた。何か動物が歩いているのだろう。音のする方向を探す。いたいた、ツキノワグマだ。急峻な斜面を登っている。クマはすぐに林の中に入って見えなくなった。
午後からは雲行きが怪しくなってきた。下山途中から雷雨となった。スギの木の下で雨宿りするが、ここも間も無く雨漏りし始めるだろう。車まではもう少しなので、雨が小止みになった時に駆け下りる。
家に戻って前の田んぼに目をやると、何かがもぞもぞと動いている。アナグマだ。鼻先を地面に突っ込んで地中にいるミミズや昆虫などの幼虫を探して食べている。ちょこまかと忙しく動き回ってほとんど動きが止まらない。行動を見ていると、鼻先で地面を触っただけで地中に何かがいるかどうかを見分けているようだ。いない場合はすぐに別の場所へと鼻先を持って行く。いるとみれば鼻先を深く地面に突っ込んで探す。
土の塊を鼻先で砕いた時に、トンボのヤゴのようなものが出て来たのが見えた。アナグマはすぐにそれをくわえてパクパクと食べた。何を食べているのかこちらからは見えないことが多いが、時々慌てて何かを捕まえて食べている。
アナグマが見えない所へ去ってすぐに、別の田んぼに別のアナグマが現れた。同じように食物を探して歩き回っている。
雨上がりはアナグマの食物探しに都合がいいことがあるのか、それとも2頭が出て来たのは偶然なのか、何れにしても2頭のアナグマをじっくりと観察できた。
クマタカの営巣の多くはマツやスギなどの針葉樹が多く、場所によってはブナやトチなどの落葉広葉樹にも見られる。外からは見えにくいところに巣をかけるのが普通である。ところが、まわりがひらけた見晴らしのいい鉄塔の中腹に営巣しているクマタカペアを先日発見した。このような例はこれまで聞いたことはなく、調べてみても見当たらない。おそらくこれが初めての事例だと思う。
鉄塔を利用した営巣は、同じタカの仲間ではミサゴで時々確認されている。ミサゴはもともと木の頂上などのひらけた見晴らしのいいところに営巣することが多いので、鉄塔もまた似たような環境といえる。しかしクマタカにとってはかなり違った環境となってしまうのだが、これも新世代クマタカのなせる技なのかもしれない。
雄クマタカがヘビを捕まえて巣の近くに戻って来た。巣の脇の鉄塔の横棒に止まり、抱卵中のメスに獲物を持ち帰ったことを知らせている。抱卵期には、持ち帰った獲物を巣には持ち込まない。雄はヘビを持って飛び立ち、近くの林の中へ入って行った。すぐに雌が巣から立ち上がり、雄の後を追って林へと消えた。そこで獲物を雌に受け渡した後、雄は巣に戻って抱卵を開始した。雌が獲物を食べている間、雄が交替して抱卵を受け持つのだ。
今のところ順調に繁殖が続いているが、まわりの見晴らしがいいだけに多くのリスクがある。人間の接近によって営巣を放棄したり、カラスや他の猛禽に卵や雛を取られたりする可能性が高くなる。また、鉄塔は定期的にヘリで飛行して点検しているので、ヘリの接近でクマタカが驚いて巣から飛び出してしまうかもしれない。その際慌てているので卵を蹴り落としてしまう危険性もある。
そんなことを考えている時、偶然にも巡回のヘリが爆音を立てて近づいて来た。クマタカがどのような行動に出るだろうか? ヘリは鉄塔の電線に沿って低空を飛行して近づいて来る。クマタカが営巣している鉄塔の間際を飛行して通り過ぎて行った。クマタカはじっと伏せてヘリが通過するのを見送った。
今回は何事もなく終わったが、ヘリが鉄塔の所でスピードを落としてホバリングすることがあれば、クマタカの行動は違ったものになっていただろう。いろんな心配は尽きないが、繁殖が成功することを祈って今後も静かに観察を続けて行きたいと思う。
鉄塔に営巣するクマタカ。
雄がヘビを持ち帰った。
近くの林に入り、雌に獲物を受け渡した後、雄が抱卵に入る
オレンジ色のカモシカは、これまでに4回出産している。父カモシカと同じグレーの子カモシカばかりが生まれている。オレンジ色をした子カモシカは生まれていない。
昨年の子カモシカもグレーであった。昨年11月ごろまでは。その後、オレンジとは別に過ごすようになってしばらく姿を見せなかった。2月になって久しぶりに子カモシカが現れ、オレンジと合流して一緒に行動しているのを見た。11月までの全身グレーの体色から少し毛色が変わっている。肩から頭までが淡い色で白っぽくオレンジがかった毛色になっている。肩のあたりを境にして、頭側と尻側で明確に毛色が違っている。他のカモシカにはない特徴的な体色なので、この子カモシカは個体識別して今後追跡できそうだ。
この子カモシカは、その後も時々オレンジの行動圏で過ごしているのを見かけるが、オレンジと合流することなく別々に生活している。体色は徐々にオレンジ味が強くなっているように思う。母カモシカのオレンジ色を受け継いでいるようだ。
ブロッケン現象は、自分の影が霧などに映り、その影の周りを囲むように虹の光の輪が現れる現象だ。山岳地で見られていることが多いように思うが、実際には条件さえ合えばいろんなところで現れている。
度々見られるものではないが、僕はこれまでに3回以上は出会っているので、運がいい方なのかもしれない。山でブロッケンが出やすい条件は、朝や夕方など太陽高度が低い時に切り立った尾根に自分がいて、太陽と反対方向にだけ霧や雲が出ている時だ。
先日、と言っても1ヶ月以上前になるが、僕は切り立った尾根に立ち背後から朝の光が差していた。僕の前の谷間から霧が湧き上がってきた。霧が谷間を覆い始めた時、これはブロッケンがまもなく起きると直感した。カメラを手に取ろうとするが、カメラは望遠レンズを付けてプレートで固定しているので標準レンズに交換するには少し時間がかかる。今日はサブカメラを持って来ていない。iPhoneで撮るしかないと気付いた時、ブロッケンが現れていた。
何枚かシャッターを切ってすぐにブロッケンは終わった。霧は薄く途切れ途切れだったので、すぐに風で吹き飛ばされてしまったのだ。しばらくの時間ではあったが、ブロッケン現象はいつも神がかり的なものを感じる。
タイミングさえ合えばいつでも見られそうでなかなか出会うことがない。次回はいつ現れてくれるだろうか?
後光差すブロッケン現象
日本野鳥の会福井県主催の「ふくい野鳥フェア2019」にて、弊社の須藤明子が「野鳥と人の共存」と題して公演を行ないます。
■日時:2019年4月13日(土)14:30 ~ 16:00
■会場:福井県海浜自然センター 体験学習室1(TEL0770-46-1101)
■お問い合わせ:日本野鳥の会福井県(wbsj.fukui@gmail.com)
単独でいる子カモシカに出会ったことは前回書いたが、10日後その子カモシカがオレンジと一緒にいるのを観察できた。子カモシカの肩から首にかけて、淡いオレンジ色の特徴的な毛色がはっきりと確認できる。先日からオレンジの行動圏内をうろついていた小さなカモシカは、オレンジの子どもであることが判明した。
子カモシカが単独で生活を始めた昨年11月頃から、その姿を見ることがなかった。どうしているのかと気になっていたのだが、元気に暮らしていたことが分かってホッとした。母子が出会って一緒に過ごすのは久しぶりなのだろう。子カモシカは母親にぴったりと寄り添って採食したり座ったりと、結構甘えているように見える。
夕方、母子は採食しながら次第に別々の方向へと移動して行った。夕闇が迫り、あたりは薄暗い。このままそれぞれの生活へと戻っていくのだろうか?こうした母子の出会いは、一時的な故郷への帰省のようなものなのかもしれない。
1歳に満たない子カモシカが単独で現れた。体は小さく、角も細く短い。オレンジカモシカの子どもかもしれないが分からない。この子カモシカは、肩から首にかけての毛色が特徴的でオレンジがかった淡い色をしている。別の日に出会っても個体識別ができるだろう。
まだまだ小さな子カモシカが、冬を単独で乗り切る姿にはいつも感心させられる。あまりにも頼りなげに見えるからだ。
子カモシカが採食しているところに、ニホンジカの母子がやって来た。母ジカが子カモシカの立てる音に気づいて警戒している。そのうちに子カモシカを見つけて警戒を解いて歩き去った。続いてニホンジカの群れが来た。子カモシカは居心地悪そうにしながらも逃げることなく採食を続けていた。
1頭の母ジカが、鼻先を子カモシカのほうへ伸ばしてゆっくりと歩み寄って来た。母ジカは子カモシカに挨拶しようとしているのかもしれない。逃げたいけども逃げないで頑張る子カモシカのどぎまぎとした様子が何とも愛おしい。母ジカは鼻先が触れんばかりに近づいた後、そのまま後退した。
子カモシカは少し離れた岩場へと歩き、ホッとしたのか座って休息を始めた。
後日、この単独で暮らす子カモシカが、オレンジの子どもであることが判明した。オレンジと離れてから長いこと姿を見せなかったが、元気に暮らしていたのだ。
暖冬でニホンジカは例年より標高の高いところにとどまっている。伊吹山の標高1,000mあたりでも、急傾斜地の雪は風で吹き飛ばされて積もりにくいので、すでに地肌が露出しているところが多い。シカたちはそうした場所に集まって採食している。雪解けが進むのに合わせて標高を上げて行く。雪に覆われていた場所には、冬の短期間ではあるが手つかずの植物が残っている。シカたちはその未開の地へ一番乗りするためにどんどん標高を上げているのだ。
雪が降るとシカは少し後退し、積もった雪が溶けると前進する。一進一退を繰り返しながらも着実に標高を上げて進んでいる。
1週間前には、どういう訳か雌ジカと子ジカばかりだったが、今日は雄ジカもたくさん姿を見せた。これまで最前線にいた雌ジカの群れに変わって、今日は雄ジカの群れが標高1,100mの最前線にいた。
雌ジカと子ジカの群れ
雄ジカの群れ
19日の深夜に帰国した。今回の撮影で一番気になっていたことは、雨のことだった。今までは乾季に訪れることが多く、天気を気にすることなく毎日が晴れだったが、今回は雨季の真っ只中。雨による植物の芽吹きや、動物たちの行動の変化があるだろうと期待していた。そして40度を越える暑さも和らぐのではないかと、僕自身も雨を待っていた。しかし、予想に反して雨はほとんど降らなかった。滞在中の約40日間で雨に会ったのは2回だけだった。1回はポツポツと雨粒が落ちてくる程度で期待はずれ。もう1回は短時間だがザーザーと激しく降った。この時は朝だったこともあり、気温が17度にまで降下して、夏のカラハリ砂漠なのに肌寒く感じた。
この雨で、それまでたまにしか見かけなかったカメ達、Leopard TortoiseとSerrated Tortoiseが元気よく歩き回る姿があちこちで見られた。水たまりが道路上であってもお構い無しにガブガブと水を飲んでいる。雨のせいで活動的になったのか、Cape Cobraがネズミの巣穴に突入するのを観察することもできた。
水たまりには、猛禽類も集まって来た。Tawny EagleやBateleur、White Backed Vulture、Lanner Falcon、Secretarybirdなどが主だったメンバーだ。Tawny Eagleなどは成鳥と幼鳥を合わせて10羽以上が来ている。水を飲む前後には、近くの枯れ木に止まって休息している。違う種類の猛禽が争うことなく近くに止まっている。中でも面白かったのは、Tawnyの幼鳥とBateleurの幼鳥が毎日同じ枝で仲良く一緒に止まっていることだった。お互いに同種の兄弟とでも思っているかのようだ。
こうした光景は、水たまりが蒸発するまでの数日間続いた。水たまりがなくなると同時に猛禽類たちもどこかへ去っていった。
水を飲んだ後、兄弟のようにくつろぐTawny EagleとBateleurの幼鳥
岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター主催の講座「野生動物を知る・第8回<鳥と生きる?鳥類からみる自然とヒト?>」に、講師として弊社より須藤明子が登壇します。
■日時:平成31年1月26日(土)10:00 ~ 12:00
■会場:岐阜大学 講堂(岐阜市柳戸1-1)
■対象:一般市民 行政職員 関係者等
■申し込み:無 料
■お問い合わせ:岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター TEL 058-293-3416(担当:國永)