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イーグレット・オフィス
野生動物の保護と管理
野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…
All the things begin from Golden Eagle!
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野生動物の生態調査・研究 野生動物の行動をより的確に捉えるためには、その生態を長期にわたって調査研究する必要があります。 イーグレット・オフィスには、猛禽類をはじめとしたさまざまな野生動物の生態に精通したスタッフが常駐し 続きを読む…
京都新聞連載『野生のいぶき』に5月・6月・7月の記事を追加しました。
| 2021年5月 | マーシャルイーグル |
| 2021年6月 | チーター |
| 2021年7月 | ライオン |
すべての記事はこちらからどうぞ
京都新聞連載『野生のいぶき』
僕のいる近くの山の急斜面から、何やらガサガサ音がして小石も転がり落ちている。音源を探すとアナグマが3頭いた。2頭が睨み合って頭を上下させた後、相手に噛み付こうとして転げ回っている。1頭が走って逃げると追いかけ、また同じように睨み合って戦うことを繰り返している。
アナグマは日中でもよく姿を見かけるのだが、これだけ大胆に暴れまわっているとよく目立つ。雌を獲得するための雄同士の戦いなのか、単なる兄弟喧嘩なのか、はたまた食物を巡る争いなのか?理由ははっきりしないが、交尾期なので雌を巡る争いの可能性が高い。執拗に追いかけ争っている。
小さな尾根の裏側へと姿を消したが、まだ争いは続いているようでガラガラと小石が崩れ落ちる音が聞こえている。
アナグマの真昼の決闘。ゴロンゴロンとでんぐり返り、まるでレスリングを楽しんでいるようだ
ニホンジカの出産は5月が多い。しかし、生まれて間もない子ジカは、1日の大半をブッシュの中に隠れて過ごしているので、見つけるのは難しい。母ジカは授乳の時だけ子ジカのところにやってくる。
今年出産したであろう雌ジカを見極めて追跡することで、子ジカを見つけることができる。出産した雌の見極めは、体格が良く昨年生まれの若いシカを連れていない個体を選ぶとほとんど間違いはない。出産は隔年なので、昨年の子ジカがいる雌は今年は出産していない。
6月の半ばを過ぎると、子ジカは母ジカについて歩き回るようになる。こんなに子ジカがいたのかと、びっくりするくらいあちこちに現れる。走ったり飛び跳ねたりすることが楽しそうだ。突然母親から離れて一直線に100mも走り出したと思ったらUターンして全力疾走で戻って行く。
やんちゃ盛りの子ジカは、僕がいることに気づかずに、目の前まで走って来てびっくりして逃げ帰ったり、母ジカより先をどんどん歩いて僕に出くわしたりと無邪気なものだ。近づいた先がクマだったら子ジカの命はない。
子ジカが十分な警戒心と注意力を身につけるまでには、まだまだ時間がかかる。それまで生き残れる子ジカは半数もいないだろう。
冒険心が旺盛な子ジカが遠出。母ジカは子ジカを探す
先月4月22日夕方、岐阜県の揖斐川源流部河岸にツキノワグマがいるのを見つけた。水際で何かを食べている。冬の間に死んで流されて来たニホンジカの残骸だ。もうすでに腐って、毛は抜け落ちている。
腹部のあたりに顔を突っ込んで、残っている内臓や肉片を食べている。人間はこんな腐肉を食べることは到底できないが、クマは平気で食べている。野生動物はたくましい。
1時間余り経ってクマは、すぐ脇のササ藪に入って座った。姿は見えなくなったが、ササが揺れなくなったことから休息しているようだ。15分ほどでササ藪から出て、シカの死体のところに戻って来た。死体をしばらくあさった後、満腹になったためかその横で寝そべった。トビやカラスがやって来て、肉片を横取りしていくので見張っているのだろう。暗くなるまで寝そべったままだった。
翌朝早く、クマの様子を見るためにそこを訪れたが、すでにクマの姿はなかった。一晩かけてシカの残骸を食べ尽くして、去って行ったのだ。そこにはシカの骨と皮だけが残されていた。
ニホンジカの腐肉を食べるツキノワグマ
子カモシカが生まれた翌日から、3日間雨が降り続いた。今年は異常に早い梅雨入りとなった。生まれてすぐに雨続きなので、子カモシカが心配だ。ようやく雨が上がった日の早朝にオレンジ母子の様子を見に行った。
4日前と同じ所で座っているオレンジを見つけた。子カモシカは見えないが、オレンジの陰にいるのかもしれない。しかし、嫌な予感がする。4日間も場所を変えずにいるのは変だ。
やがてオレンジは立ち上がり歩き出した。しかし、子カモシカはいない。オレンジは足早に移動して行くが、子カモシカの姿はない。生まれたばかりの体に降り続いた冷たい雨で、体温を奪われて死んでしまったのだろう。残念だ。
オレンジは昨年も子どもを生んだが、1週間以内にいなくなっている。その子カモシカは、イヌワシに見つかって狙われていたので、オレンジから少し離れた隙に襲われたものと思われた。
自然界で生きることは厳しい。生き延びるためには運も必要だ。
足早に歩くオレンジの足元に子カモシカの姿はない
オレンジ色のカモシカは5月14日の早朝に子どもを生んだ。僕がオレンジを見つけた時には、足元にいる子カモシカを盛んに嘗めていた。
30分ほど経って子カモシカはヨロヨロしながら立ち上がったが、急斜面で木や草など障害物が多いので思うようにはまだ歩けない。それでもオレンジはしばらく経ってから移動を開始した。採食しながらゆっくりと斜面を登って行く。子カモシカもよろけながらなんとか離れずについて歩いたが、すぐに灌木に阻まれて進めなくなった。数メートル離れた子カモシカに気付いたオレンジは、慌てて元の場所へと戻った。子カモシカもオレンジの足元に戻った。
その後、オレンジは出産時の胎盤を拾い上げて食べ始めた。もぐもぐと噛みしだきながら少しづつ飲み込んでいった。なかなかの量があるので、食べ切るのに30分以上もかかった。全てを飲み込んだ後、ゲボッとなって苦しそうだった。
今日はこの場所から動かずに夕方を迎えた。
出産直後のオレンジカモシカ母子。胎盤を食べる
京都新聞にて好評連載中の「野生のいぶき」をPDFにてご覧いただけます。

| 2020年4月 | オレンジ色のカモシカ |
| 2020年5月 | ツキノワグマ |
| 2020年6月 | キツネ |
| 2020年7月 | クマタカ |
| 2020年8月 | ニホンジカ |
| 2020年9月 | イヌワシ |
| 2020年10月 | タヌキ |
| 2020年11月 | ムササビ |
| 2020年12月 | イヌワシ |
| 2021年1月 | キツネ |
| 2021年2月 | カモシカ |
| 2021年3月 | イヌワシ |
| 2021年4月 | ブラックイーグル |
| 2021年5月 | マーシャルイーグル |
| 2021年6月 | チーター |
| 2021年7月 | ライオン |
| 2021年8月 | ピグミーファルコン |
| 2021年9月 | キリン |
| 2021年10月 | カラフルな鳥たち |
| 2021年11月 | 命の水場 |
| 2021年12月 | 木陰に集う |
| 2022年1月 | 車を家来にサバンナを堂々行進 |
| 2022年2月 | キックで捕獲 風変わりな猛禽類 |
※リンクをクリックするとご覧のブラウザの別ウィンドウにPDFが表示されます。
京都のレティシア書房様にて、弊社代表でもある動物写真家の須藤一成の作品展を開催します。
須藤一成がライフワークとしている伊吹山とアフリカの野生動物の作品を中心に、写真と映像による展示(写真が動き出す!)を行います。また、期間中は展示作品とオリジナルグッズの販売も行います。
■日時:2021年1月20日(水)〜31日(日)13時〜19時・・・月曜・火曜定休日
■会場:レティシア書房
■場所:京都市中京区高倉通り二条下がる瓦町551
■問合せ:TEL075-212-1772
■HP:http://book-laetitia.mond.jp/
尚、新コロナウィルス感染症対策のため、ご来店の際はマスクの着用と手指の消毒にご協力ください。
★レティシア書房様の店長日誌にてご紹介いただきました!
須藤一成「日本とアフリカの野生動物写真映像展」スタート
平成22年12月に設立された関西広域連合の10周年を記念し、これまでの取組を振り返るとともに、ポストコロナの時代に求められる国土の双眼構造の構築と分権型社会の確立に向け、記念式典を開催します。
同式典のパネルディスカッションに、弊社からは須藤明子(専務取締役)がパネラーとして参加いたします。
【日 時】2020年11月13日(金)13時30分~17時00分
【場 所】大阪府立国際会議場 3階 イベントホールA・B
【定 員】50名
【問い合わせ先】関西広域連合本部事務局総務課 TEL 06-4803-5668