イヌワシの巣造り、子育てライブ映像ダイジェスト3

イヌワシの巣には、相変わらず雪がこんもりと積もっている。たまにイヌワシがやって来て巣の縁に止まるが、この雪では巣造りができないので困惑している様子だ。巣の近くで鳴き声がたびたび聞こえる。
巣の上の雪は、少なくなってきたと思っていたらまた降ることを繰り返して、一向に減らない。2月6日には1m以上の降雪があって、カメラの前にも雪が積もって1日以上視界がなくなった。
雪の中でも活動しているイヌワシの鳴き声が時々聞こえている。カモシカが雪の岩場を採食しながら歩いている姿も見られた。

このペアは、これまで40年の間に5ヶ所の巣を繁殖に利用してきた。繁殖に成功して雛が巣立ったのは、そのうちの3つの巣だ。雛が巣立つのは、平均して5年に1回足らずである。
5つの巣は遠いものは数キロ以上離れている。この5巣以外にも巣造りをするだけで使用しない巣がいくつかある。現在、ライブカメラの巣は雪で巣造りができないので、他の巣へも巣材を運んでいる。しかし、それらは巣の前に樹木が伸びてきて、出入りが非常にしづらくなっている。
ライブカメラの巣は、上にオーバーハングがなくて雪が積もり、いい条件の巣とは言えない。イヌワシは条件のいい巣を探しているが、なかなか見つからない状況だ。

2月上旬からライブ配信を予定していましたが、巣には雪が積もったままでイヌワシの出入りが少ないので、頻繁に出入りがあるようになるまでライブ配信は延期します。
今年この巣を使用するかどうかはまだ分からないですが、ライブカメラの前で興味深い繁殖生態を見せてくれることを期待したいです。



イヌワシの巣造り、子育てライブ映像ダイジェスト2

昨年末から、巣には雪が降り積もり、巣造りができない状況が続いている。雌雄が鳴きかわしている声が巣の近くで聞こえるが、雪がこんもりと積もった巣には滅多に入って来ない。

1月17日、雄が巣にやって来た。巣の縁の雪のない部分に止まって、さかんに鳴いている。近くに雌がいるのだろう。その方向を注視しているが、雌は巣には来なかった。

イヌワシの産卵は、近畿地方では2月上旬頃が多い。伊吹のワシは早い時には1月下旬に産卵することもあり、周辺の他のワシより若干早めにに繁殖が始まる。しかしここ数年、伊吹では2月下旬に産卵している。遅くなっている理由は分からないが、産卵が遅くなるのは生息状況が悪化している場合に多いように思う。伊吹のワシの将来を少し不安に思う。
産卵が遅いので、巣造りはこれからが本番となるだろう。今年の繁殖がうまくいくことを祈っている。

2月頃からライブ配信の予定です。
イヌワシは、今年の繁殖活動を開始しています。営巣地やその周辺の人の動きなどに敏感で神経質な時期です。
営巣地に近づくことがないようにお願いします。
ライブ映像でイヌワシの繁殖を見守ってください。



雪の積もった巣でコールする

イヌワシの巣造り、子育てのライブ映像配信

新年おめでとうございます。

今年から、イヌワシの巣造りから子育てまでをライブ配信する予定です。
これまで僕のライフワークであるイヌワシについて、ネット上ではほとんど発信していませんでした。発信することで、たくさんの人たちがイヌワシの生息地を訪れることになり、警戒心の強いイヌワシの繁殖や生活に影響を及ぼしてしまうことを懸念しているからです。

伊吹地域に生息するイヌワシを、これまで40年間ひっそりと見守ってきましたが、近年では多くの人の知るところとなり、イヌワシを狙う多くのカメラマンが集まるようになっています。それぞれが思い思いの行動をとることで、イヌワシの生活を狂わせつつあります。餌となる動物の死体などを持ち込んで写真を撮ろうとする人がいたり、巣立った幼鳥を追いかけて、普段は人が立ち入らない山中のあちこちにカメラを構えた人が居座っていたり、また巣の近くまで行ってカメラを構えているために、親鳥が巣に戻れない事態も起こっています。

情報が瞬時に拡散する現代では、僕が情報を発信しないことだけでは人の集中を避けることはできません。人が集まるところでは、自然観察のルールが必要だと思います。僕がよく訪れるアフリカの国立公園にもルールがあります。野生動物に餌を与えない、観察路や道路から外れて動物たちを追いかけない、動物の行動を阻害しない、などです。日本でも人が集中する場所では、こうした自然観察のルールが必要になってきています。

今回のライブ配信では、普段見ることができないイヌワシの巣造りや子育てを、イヌワシに影響を与えることなく観察できます。このような趣旨に賛同いただける方々と一緒にイヌワシを見守り、イヌワシの生活を脅かすことがないようなルールが、自然に出来上がることを期待しています。
ライブ配信は、2月頃から公開予定です。それに先立ち、繁殖状況のダイジェスト版を発信していきます。

今回は、12月下旬の巣造りの様子です。巣材運びが見られるようになりましたが、まだ本格的ではなく、巣は整っていません。何年にも渡って同じ巣を使用しますが、巣材の一部が崩れ落ちているので、これから新しい巣材を積み上げていきます。
雪が降り積もった巣の上に巣材を運んで、途方に暮れているようなイヌワシの姿もありました。



イヌワシの巣造り。雪の上に巣材運ぶ。ライブ映像ダイジェスト版2021年12月

伊吹山文化資料館 第148回企画展「伊吹山にイヌワシが舞う」講演会

同企画展の期間中、弊社代表でもある動物写真家の須藤一成が講師として講演会に登壇します。

伊吹山のイヌワシの40年間の記録とこれまで取り組んできた保護活動を、映像と写真を使いながら様々なエピソードを交えて話します。

■日時:2020年7月26日(日)13:30〜 
■講師:動物写真家 須藤一成(株式会社イーグレット・オフィス代表)
■参加費:500円
■募集:30名(要申込・先着順)
■場所:伊吹山文化資料館講座室
■問合せ:TEL0749-58-0252
■HP:http://www.zb.ztv.ne.jp/mt.ibuki-m/

□伊吹山にイヌワシが舞う

伊吹山文化資料館 第148回企画展「伊吹山にイヌワシが舞う」

伊吹山をはじめ1,000m級の山が連なる伊吹地域に1つがいのイヌワシが生息しています。2001年からの5年間に4回繁殖に成功して以来、14年ぶりに1羽の若ワシが巣立ちました。

白斑を輝かせて大空を舞う姿を見られたのも束の間、巣立ち後半月ほどで弱ってうずくまっているところを保護されましたが、数日後に死んでしまいました。

映像・写真展では、この若ワシが元気だった頃の姿や、イヌワシの1年の生活を紹介します。あわせて、貴重なイヌワシの骨格標本も展示します。

■写真・映像:動物写真家 須藤一成(株式会社イーグレット・オフィス代表)
■期間:2020年7月9日〜8月6日
■場所:伊吹山文化資料館
■開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで) 
■休館日:月曜日・祝日の翌日
■入館料:一般200円・小中学生100円
■問合せ:TEL0749-58-0252
■HP:http://www.zb.ztv.ne.jp/mt.ibuki-m/

□伊吹山にイヌワシが舞う

Wahlberg’s Eagleの恋

快晴の暑い日が戻って来た。南部アフリカは、季節が日本とは逆なので今は早春である。夏鳥たちがちょうど渡って来る時期だ。

お互いに羽繕いをしあう

お互いに羽繕いをしあう

イヌワシの仲間のWahlberg’s Eagleも夏鳥としてやって来る。9月の初めまではめったに姿を見なかったが、数日前から急に目に付くようになった。昨日の夕方、枯木に止まるペアを見つけた。2羽が寄り添って止まり、頭や首の羽繕いをお互いにしあっている。求愛ディスプレイの一種と思うが、延々と続いてお互いにうっとりして気持ち良さそうだ。

今日の夕方、またその場所を通りかかると、同じ枯木に昨日とまったく同じようにペアが止まって羽繕いしあっている。午前中にここを通った時にはいなかったので、夕方になるとこの枯木にやって来るようだ。彼らも恋の季節なのだ。

このほほ笑ましい光景に、通りかかった多くの人たちが車を止めて観察していく。これほど多くの人たちに祝福されるWahlberg’s Eagleは他にはいないだろう。

小春日和に奥山散策



太くて大きいワラビが林立する

今日は、地元の人がほとんど行くことのない山奥へ山菜採りに出かけた。清冽な水が流れる沢筋を遡る。ワサビが白い可憐な花を咲かせている。ミズ(ウワバミソウ)もある。岩場にギボウシが伸び始めている。
人の採集圧を受けていない山菜は太くて大きいものが多い。ワラビは茎の太さが1cmもあるのが林立している。
昼食時、対岸の山の斜面にツキノワグマを見つけた。木に登り鮮やかな新緑の葉を食べている。上空高くにイヌワシが舞っている。
夕方帰宅し、ミズとギボウシを塩水でさっとゆがき、タラノメは木灰を入れて茹でる。ゴマドレやマヨネーズなどであえて食べる。ワサビは少量を生のままで肉類と一緒にいただく。ピリッと辛みが効いてさわやかだ。ワラビは木灰で一晩アクを抜くので、明日以降の楽しみだ。

中越森林管理署「イヌワシ保全シンポジウム」

中越森林管理署主催による「イヌワシ保全シンポジウム」に、パネラーとして弊社より須藤明子が参加します。以下、開催の要旨です。

「中越森林管理署では、管内のイヌワシの繁殖状況や行動のモニタリング等を新潟県イヌワシ保全研究会に調査委託し、得られたデータを基に国有林野の森林施業の検討を実施しているところです。 そこで、「森林施業からみたイヌワシの保全」というテーマのもと、これまでの研究成果を広く県民の皆様に発表するとともに、民国連携した取組の紹介をすることを目的として下記のとおりシンポジウムを開催します。 さらに本シンポジウムでは、より多角的な面からイヌワシ保全を検討するため「イヌワシと里山林の整備」「イヌワシと人間活動」等について併せて検討します。 」

□「イヌワシの生態と生息地保全」須藤明子(日本イヌワシ研究会)
□「新潟の農林業とイヌワシ」柳川雅文(新潟県イヌワシ保全研究会)
□「里山林の生態系の維持」大住克博(森林総合研究所関西支所)
□パネルディスカッション コーディネーター 谷本丈夫(宇都宮大学)

□詳細はこちら

■主催:林野庁 関東森林管理局 中越森林管理署
■日時:2014年2月6日(木)13:30~17:00
■会場:南魚沼市民会館 多目的ホール
■定員:200人(参加無料)
■お問い合わせ:中越森林管理署

週刊「日本の天然記念物 動物編」イヌワシ

写真 須藤一成(表紙他15点提供)
発行 2003年 小学館
取扱 Amazon
内容 2002年6月6日から50週連続で発行されたウィークリーブックで、日本の天然記念物を写真とイラストでわかりやすく解説している。全ての号に解説されている動物の立体フィギュアが付属している。