ニホンジカ 袋角から枝角へ



ニホンジカは雄だけに角がある。年齢を重ねるほどに立派になる角が、毎年落ちて新たに伸びてくる。4月中旬頃に角を落とす個体が多いが、個体によって早いものや遅いものがいる。早い個体は3月末に角を落としていた。

角が落ちるとすぐに新しい袋角と呼ばれる表皮に包まれた柔らかい角が伸び始める。4ヶ月ほどかけて袋角が成長する。8月末から9月初め頃に表皮が剥がれて骨化した硬い角が現れる。

9月になるとニホンジカの繁殖期に入る。雄ジカたちは雌ジカを求めて争うことになる。この時期には雄ジカは他の雄ジカが近くにいることをかなり気にするようになる。大抵の場合は戦わずに自分の強さをアピールして勝敗が決まる。強さイコール角の大きさのようなのだ。大体は角が大きいほうが勝つ。同年齢で角の大きさがほぼ同じの場合は、お互いの角を絡めて押し合って勝負している。
9月には新しく大きくなった角が骨化して頑丈になるのも、雌をめぐる戦いに勝つためだ。

9月に入り、雄ジカが雌ジカを獲得するために忙しく活動する季節になった。雄ジカの「ピー〜」と鳴くラッティングコールが山に響き渡る。