野生動物管理 ー 理論と技術

野生動物管理 ー 理論と技術

共著 須藤明子(株式会社イーグレット・オフィス)
「第31章 猛禽類の個体群と生息地の管理技術」
編集 羽山伸一・三浦慎吾・梶光一・鈴木正嗣
発行 2012年 文永堂出版
内容 国内における各専門分野の最前線で活躍している39名の研究者もしくは技術者により、野生動物管理の理論と技術を網羅した書籍。

野生動物の研究と管理技術(翻訳)

共訳 須藤明子(株式会社イーグレット・オフィス)
「第8章 性判別と齢査定」
監修 日本野生動物医学会・野生生物保護学会(現「野生生物と社会」学会)
編訳 鈴木正嗣
発行 2001年 文永堂出版
内容 米国における野生動物と生息環境の研究・保護管理方法について包括的に解説された書籍。日本野生動物医学会と野生生物保護学会に所属する専門家32名により訳出された。鳥類の性判別と齢査定の項を担当した。

伊吹山自然観察ガイド

著者 村瀬忠義・須藤一成・草川敬三
発行 2007年 山と渓谷社
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内容 滋賀県最高峰、標高1377mの伊吹山は、山頂一面に広がる高山性植物で知られ、日本百名山のひとつでもある。須藤一成が、「第2章いきものの章」を担当し、伊吹山とその周辺に生息する特徴的な動物について紹介している。

週刊「日本の天然記念物 動物編」イヌワシ

写真 須藤一成(表紙他15点提供)
発行 2003年 小学館
取扱 Amazon
内容 2002年6月6日から50週連続で発行されたウィークリーブックで、日本の天然記念物を写真とイラストでわかりやすく解説している。全ての号に解説されている動物の立体フィギュアが付属している。

写真集 イヌワシ Golden Eagle

著者 須藤一成
発行 1994年 平凡社
取扱 Amazon
内容 日本の森林生態系の頂点に立つ大型猛禽類イヌワシ。日本国内の生息数は500羽程度とされ,絶滅の危機に瀕している。イヌワシのダイナミックな狩り,悠々たる飛翔,人の手の届かぬ断崖での子育てなど,その生活史のすべてを日本で初めてとらえた写真集。

野生動物救護ハンドブック

野生動物救護ハンドブック

著者 須藤明子(株式会社イーグレット・オフィス)
「第3章 野生動物救護の実際各論 – ワシタカ類」
編者 野生動物救護ハンドブック編集委員会
発行 1996年 文永堂出版
内容 野生動物救護の各論の猛禽類の項を担当。猛禽類のうち救護例の多いトビとチョウゲンボウについて、生態学的特徴、診断技術と保定、主な救護原因と疾病、食性と給餌方法、飼育管理と野生復帰について概説。

Vol.54 アフリカ撮影記 Ver.15 クドゥ



ねじれた大角を持つ雄のクドゥ。土に溶け込んだ塩分を舐める。たくさんの動物たちがやって来て舐めるので地面が大きく掘れている。

くるくるとねじったような大きな角を持つ雄のクドゥは、アフリカの大地によく映える。

クドゥは体重が200kg前後あり、大きな雄では250kgもある。角を持つのは雄だけで、角の長さが1.8mを超えるものも記録されている。重さはおそらく一本で十数kgはあるだろう。高く跳び薮を駆け抜けて走るには角を自在に操れるだけの筋肉が必要だ。角は重いだけでなく長いので、余計に振り回されてしまいそうだが、急な方向転換や頭を振ったりする時にふらついたりはしていない。そう考えると彼らは強靭な首の持ち主であることがわかる。

力強い体でこの角を振り回して肉食獣を追い払うこともあるが、追い払いの効果はあまり期待できないので、積極的に武器として角を使用するものではないらしい。雌をめぐってのなわばり争いで激しくぶつかり合ったり押し合ったり、あるいはディスプレイに使用したりと、角は同種間の争いで主に使用されるのだ。

激しい闘争によって片方の角が折れてなくなってしまったクドゥを時々見ることがある。角の重さは半分になったものの、バランスが悪くてかえって動きづらいように見えるのだが…。当のクドゥは気にする様子もなく、頭が角のあるほうに傾いているわけでもなくまっすぐに立っている。クドゥの角はニホンジカのように毎年生え変わるものではないから、このクドゥは一本角のまま生きていくのである。このバランスの悪さから、肩凝りや首の凝りに悩まされはしないかといらぬ心配をしたくなる。

彼らは大きな角を付けたままでも障害物を軽々と飛び越え、薮の中では角を水平にして体に添わせて素早く通り抜けていく。

ある時数頭のクドゥがフェンスの脇にいるのに出くわした。車の出現に驚いたクドゥは高さが2mほどのフェンスを次々と飛び越えたが、少し小さな若いクドゥだけが躊躇してオロオロしている。小さなクドゥにはこのフェンスは高すぎるようだ。そのうちに有刺鉄線が少したるんで間隔が広がっている部分に狙いを定めて、この隙間を飛び越えて逃げていった。

それにしても、小さいとはいえ体高が1.2mほどあるクドゥが、広いとは言えないその隙間を通過したとは信じられない。僕は、クドゥが体当たりで有刺鉄線を切って通り抜けたのではないかと思い、そこへ行ってみたのだが、有刺鉄線は切れていない。フェンスはほとんど揺れなかったから、本当に見事にこの間隙をすり抜けていったのだ。前脚と後脚を水平にして、体が最も細くなる姿勢で有刺鉄線の間を抜けていったのである。サーカスの動物ショーの火の輪くぐりも顔負けの素晴らしさだった。

お世辞にも細身とは言えないずんぐりとしたクドゥは、いかにも鈍重そうに見えるので、余計に軽やかでしなやかな身のこなしに驚かされた。首だけでなく、全身の筋肉が強靭でしなやかなのだ。