ツキノワグマがシカを追跡

ツキノワグマはカモシカやニホンジカの幼獣をたびたび食べているようだ(子カモシカの捕食の様子は2013年9月のブログに書いた)。茂みを乱暴に歩き回って子ジカを探しているのを時々見かけることもある。2ヶ月ほど前にはシカを食べている母子のクマを目撃した。
その時食べていたのは子ジカだと思われた。ツキノワグマは立派な角を持ったニホンジカの雄でも捕食することがあるが、多くの場合子ジカを狙っている。

先日、ニホンジカを狙うツキノワグマを観察した。クマのほうは母グマと昨年生まれの2頭の子グマだ。シカを狙っているのは母グマだ。子グマは母グマと一緒にいるだけで狩りができるわけではない。
母グマが斜面上方に鼻先を向けて臭いを嗅いだ後、その方向へ早足で登って行く。その先にはシカの群れがいる。その中には子ジカもいる。クマはその子ジカを狙っているのだ。シカは別のところにも何頭もいるのに、この群れを狙ったのは子ジカがいるからだ。臭いだけで子ジカがいることを察知している。

シカはクマが近づいて来たことにいち早く気づいた。警戒しながらクマとの距離を保って逃げて行く。こうなるとクマはそれ以上近づくことはできない。あっさりと諦めて、母子3頭は方向を変えて去って行った。



「伊吹山のイヌワシ子育て生中継」ダイジェスト2023 孵化・兄弟闘争

母ワシは雪の日も強風の日も昼夜抱卵を続け(雄ワシは1〜2回/日程度短時間だけ交代)、産卵から42日目の4月11日に1卵目の雛が孵化した。白い綿毛に覆われた小さな雛は、か弱そうで頭は安定せずにフラフラしている。
巣には2日前に雄ワシが運び込んだ獲物がある。抱卵中は巣に獲物を運び込むことは少なく、巣の外で獲物を雌ワシに渡すことが多い。雄ワシは雛が孵化することを察知して巣へ運んできたのだ。孵化する2日ほど前には卵の中の雛が卵殻を少しずつ削って小さな穴を開けている。雛の鳴き声が卵の中から聞こえているので、雄ワシは雛が孵化することが分かっていたのだ。母ワシは空腹であるにもかかわらず、生まれてくる雛のためにその獲物には一切手をつけなかった。

雛が孵化して1時間後には母ワシはその獲物を雛に給餌した。雛は頭をふらつかせながらも小さな肉片を受け取り、いくつかを食べた。母ワシはだいたい3時間おきに給餌をした。
3日後の4月14日、2番目の雛が誕生した。こちらは産卵から41日目で孵化し、1卵目より1日短い抱卵日数だった。1番目の雛をニーナ、2番目の雛をミミと名付けた。
日本のイヌワシは、雛が2羽孵化しても1羽しか生き残ることができない。2羽育てるだけの餌を確保できないことが主要因と考えている。最初に生まれた1番雛は、2番雛が生まれる頃には少し大きく育っているので優位に立ち回る。2番雛が孵化すると兄弟闘争が始まるのだが、大きい1番雛が一方的に2番雛をつつく。2番雛は、怪我をしたり母ワシからの給餌を受けられなくなったりして10日以内に死んでしまうことが多い。
ニーナとミミの場合も例外ではない。ミミが孵化してから17日までの3日間はニーナのつつきはそれほどではなかったので、このまま2羽が育ってくれないかなーと淡い期待をしていた。18日になってニーナのつつきが激しくなってきた。ミミはニーナの攻撃を避けて逃げ回ったりうずくまったりで、母ワシの給餌を受けられなくなってきた。それでもニーナが満腹になって落ち着いた時に少しは給餌を受けることができた。
ニーナのつつきはだんだん激しくなって、母ワシの脚をつついたり巣の上の獲物につつきを繰り返したりと、相手の見境がなくなっている。20日にはミミの背中は綿毛を抜かれて皮膚が露出して血まみれになった。産座から離れて力無くうずくまり動かない。母ワシは産座でニーナを懐に入れて座っているが、ミミを引き入れることはできない。
翌朝、ミミは力尽きていた。獲物が豊富とは言えない日本では、避けられない宿命だ。これからはニーナが少ない獲物を独占することで成長をしていくことになる。



「伊吹山のイヌワシ子育て生中継」ダイジェスト2023 ニーナ救護の舞台裏



ニーナの救護へと急展開したことで、ライブをご覧になっている皆さんも戸惑われたことと思います。こちらの方針が180度転換した訳ではありません。今回のイヌワシライブは生態観察をするのが基本です。救護をするためのものではありません。
救護することに決めたのは、イヌワシの両親が子育てを断念したと考えられたためです。その根拠として餌の搬入頻度が非常に少ないことや雌親は1ヶ月近く帰巣していないこと、雄親による巣材搬送が7月20・25・26日に観察されたことがあります。イヌワシが繁殖失敗した場合に転位行動として巣材運びを始めることが知られており、20日以降の巣材運びは転位行動の可能性があります。

イヌワシは育雛期に巣材を搬入しますが、育雛後半になるほど搬入は少なくなります。今年の場合、巣材の搬入は少なかったにもかかわらず、巣立ち時期になって何度も搬入したのは転位行動の可能性が高いと考えています。
育雛放棄の場合、雛が生きられる可能性はありません。希少種が怪我をして動けなくなった時の救護と同様と考え、救護することを見据えて行動することにしました(7/26)。まず育雛断念を確実にするためにあと2日くらい様子を見る必要性を感じたことと、救護するにもこのアプローチ困難な巣へ行くための準備が必要なため、すぐにできる対応として巣への餌の投入に踏み切りました。(こうした対応は関係機関と情報共有しながら進めていますが、ここではその記載は省略します)

ニーナは7月27日に投入した餌を食べたものの翌28日には未消化で吐き出してしまいました。ニーナの衰弱はかなりひどい状況です。
28日の朝、クライマーのクッピーさんへ電話で打診。危険な岩場での作業で何かあった場合は自己責任であることや、営巣場所がわかる情報は一切他言しないことを条件としてお願いしたところ、当然のことと快諾いただきました。
2、3日のうちに救護に向かう可能性が高いが親鳥の行動によっては救護しない可能性もあるので、実施直前に再度連絡することにしました。それにもかかわらずクッピーさんの奥さんの「なぜすぐに行かないの?無駄になっても現地の近くで待機しておかなければ間に合わないのでは」という言葉に、クッピーさんは仕事を後回しにして登攀道具を車に積み込みすぐに出発されたのです。

車で移動中の13:19にニーナは巣から落下してしまいました。クッピーさんが伊吹に到着してすぐに現地へ急行となりました。
夕闇が迫る時間ギリギリでのアタックとなり、またアプローチがかなり困難なために時間との戦いでもありました。時間があまりない中で到着できるのかもわからない状況でした。そのため装備はできるだけ軽くする選択だったと思います。こちらからも捕獲の際の袋やタオル、捕獲用の網など準備はしていたものの、アプローチの負担になるためにそれを預けることはやめました。ニーナのところまで到着できればどうにかできると考えたからです。

うまく、そして素早い行動でニーナのところへ到着されました。予備のシャツがないことは分かっていましたが、衣服でニーナを覆ってくださいとこちらが伝えると、クッピーさんは間髪を入れずにシャツを脱いでニーナの頭や翼を覆って確保に成功しました。クッピーさんが岩場を離れて我々と合流した時には、すでに暗くなり始めていました。素早い行動が功を奏しました。

ニーナは救出直後はぐったりしていましたが、現地で補水液を自力で飲み、少し元気を取り戻したように見えました。
しかし、体重は1.36kg、通常の1/2.5しかありませんでした。昨日投入したシカ肉を引きちぎって食べたパワーはどこにあったのかと思えるほど痩せていて、筋肉はほとんどありませんでした。
流動食を吸収することもできず、7月30日16:56、ニーナは短い一生を終えました。

「伊吹山のイヌワシ子育て生中継」で話題になっていることについて

餌付け問題。写真を撮るだけでイヌワシのことを考えていない餌付けは、イヌワシにとってプラスにはなりません。餌付けが最も頻繁にされた1990年台はイヌワシは全く繁殖に成功していません。その頃に餌付け禁止の看板を環境省や県自然保護課・米原市と連盟で立てました。また、ドライブウェイに来ているカメラマンに餌をやらないよう直接お願いもして回りましたが、侵入防止柵や看板も壊される始末でした。

1999年頃に2年近くドライブウェイが道路の崩壊で通行止めになり、餌付けもなくなりました。その1年後からイヌワシが繁殖に成功するようになりました。2001年からの5年間で4回繁殖に成功しています。
無計画で過剰な餌付けがイヌワシの繁殖に良い影響を与えなかったことが分かります。イヌワシが餌付け場所で待ち続けて、行動範囲が縮小して本来の狩りができない状況だったのです。
しかし、ドライブウェイ開通後は徐々に餌付け行為が再発するようになり、現在に至っています。昨年2022年からは法律で国立公園など特別保護地区での餌付けが禁止されたことや、不法投棄として警察が動いたことなどで餌付けはなくなったと思われます。

このイヌワシ子育てライブの餌不足を見て、伊吹山が自然度の低い山だとの書き込みが増えていますが、伊吹山だけでなく全国の山で自然度の低下が起こっていると考えられます。日本イヌワシ研究会の「つがい数の減少と繁殖成功率低下の33年間の推移」によると、全国のイヌワシのつがい数340のうち、2013年までに99つがいも消滅しています。特に2000年以降は急激に減少しています。現在の2023年までにはさらに多くの消滅つがいがあったと推測されます。

滋賀県でも11つがい生息していたのが現在は4つがいだけになっています。そのうちの1つがいが伊吹山のイヌワシです。標高1,377m、それほど高い山ではなくそれほど山奥にあるわけでもない、昔から人の生活に利用されてきた身近な山でありながら、豊かさを保ってきたのは伊吹山のポテンシャルの高さからだと思います。イヌワシの繁殖成功率の低下は全国的な傾向であり、各地で同様の餌不足に陥っていると推察されます。

今年の伊吹ペアの餌不足は異常な状況です。他の年でも子育ては餌不足との戦いで、母ワシは干からびた骨を食べて凌ぐことも多いです。それでも雛の成長が遅れることなく育っていました。それが今年は母ワシだけでなく雛(ニーナ)までもが骨で食い繋いでいます。成長具合は普通より20日は遅れています。ニーナは7月24日現在104日齢で、これまでに日本では例がないほど長い子育てになって、両親が子育てを諦めてしまうかもしれない状況になっています。

人による給餌や救護をすべきとの考えもあります。しかし、今1羽の雛が飢えてかわいそうだという理由でやるべきことではなく、日本のイヌワシの個体群を守るためにどのように取り組むかを、有識者で考え合意して実施すべきことなのです。
今回のイヌワシライブは、早急な対策の必要性を強く訴えるものになると思っています。

イヌワシや多くの野生動物を守る環境保全は何をやるべきなのでしょうか?色々な保全策がこれからも実施されていくものと思います。
その一つとして僕が提案したいのは以下の保全策です。
イヌワシとツキノワグマの分布や生息状況は、ほとんど一致しています。また、ブナ林の分布とイヌワシの分布もかなり一致しています。そして人工林率が高い地域からイヌワシの生息が消滅している傾向があります。
これらを総合的に考えると、単一の樹木で下層植生が育たず動植物が生息しにくい人工林が、森林面積の40%以上を占めている環境が、イヌワシの生息に悪影響を及ぼしている可能性が高いと考えられます。
手入れされずに放置された人工林が多くあることから、そうした不良な人工林を優先的に伐採して、自然の林へと転換する必要性を強く感じます。人工林率30%以下、できれば20%に。

イヌワシ子育てのライブ配信は下記URLからご覧ください。
URL:https://youtube.com/live/7GT1ToXBM64

※お願い
イヌワシ子育てのライブ配信は、警戒心の強いイヌワシに影響を与えず、多くの方々にイヌワシを観察してもらうための企画です。巣を探し回ったり撮影しようとして、巣に近づかないでください。人が巣に近づくと親鳥は巣から出てしまい、卵やヒナが死んでしまいます。
また、飛べるようになった幼鳥を追い回すことがないようお願いします。

伊吹山のイヌワシ子育てダイジェスト2023 抱卵、悪天候に耐える

産卵から1ヶ月が経った。抱卵は順調に進んでいる。雪が少なく暖かい日が続いているが、時には雪の降ることもある。雌ワシは自分の体に降り積もる雪にも動じることなく、じっと耐えて抱卵を続けている。
また、雨が降り続いた時にも微動だにせず雨に打たれて抱卵をしていた。頭を下げて動かないので、大丈夫かとモニターを凝視した。5分以上経ってようやく頭を上げたのを見てホッとした。

雄ワシは1日に数回程度巣を訪れて、数分から1時間くらい雌ワシと抱卵を交代する。雌ワシはその間に巣から出て体を伸ばしフンをしてくつろいでいる。雄ワシが獲物を捕らえて運んできていればそれを食べる。抱卵中は基本的には獲物を巣へは持ち込まない。巣の周辺で受け渡す。
抱卵交代時の雌雄の動きや鳴き交わしなどの状況から、巣の外の様子を想像する。2羽で鳴き交わしている声が聞こえる時には獲物の受け渡しが行われているだろうとか、雌が巣から出た後1分ほどで戻って来た時には、飛びながらフンをし抱卵姿勢で強張った体をほぐして数回旋回して戻って来たのだろう、など真実はわからないことが多いのだが想像して楽しんでいる。

米原市と連携して「イヌワシ子育て応援プロジェクト」を立ち上げました。イヌワシを身近な存在として感じて取ってもらい、イヌワシの現状や伊吹山の素晴らしい自然環境について多くの方に知ってもらいたいと考えています。
一方で、イヌワシ目当てに多くのカメラマンが集まる伊吹山では、一部のカメラマンが巣に近づきすぎて親鳥が巣に戻れなくなったり、シカの死体を持ち込んで餌付けが行われるなど、違法行為やマナー違反が目につくようになっています。「無人リモートカメラ」の設置により巣の周辺を監視できることや、多くの人が見ていることで「見守り効果」が発揮され、撮影マナーの向上や違法行為から守る監視役として機能することを期待しています。

※お願い
イヌワシ子育てのライブ配信は、警戒心の強いイヌワシに影響を与えず、多くの方々にイヌワシを見てもらうための企画です。巣を探し回ったり撮影しようとして、巣に近づかないでください。人が巣に近づくと親鳥は巣から出てしまい、卵やヒナが死んでしまいます。

ライブ配信の日程は以下の通りです。
3月28日、米原市役所本庁舎3F市民交流スペースのモニターで配信開始
3月28日、伊吹山文化資料館で配信開始
4月1日、YouTubeで一般公開開始
URL:https://youtube.com/live/7GT1ToXBM64



「伊吹山のイヌワシ子育て生中継」公開のお知らせ



伊吹山のイヌワシ子育て生中継

4月1日から公開します。
ライブ映像を通して、イヌワシを身近な存在として感じ取ってもらい、イヌワシの現状や自然環境について考えるきっかけになってほしいと思っています。
イヌワシが警戒しないように、無人リモートカメラによるライブ映像です。普通には見ることのできない空の王者イヌワシの子育てをご覧ください。

伊吹山ではイヌワシの巣に近づいて撮影を試みるカメラマンが増えて、卵や雛が死亡する恐れが高まっています。
巣を探し回ったり近づいて撮影したり、絶対にしないでください!!
ライブカメラは、カメラマン対策として巣の周辺での人の動きも監視しています。イヌワシ保護のために巣の場所やカメラの配置は公開していません。

米原市と連携し、ライブ配信を通じて多くの市民と共に「イヌワシを見守る」体制づくりをしています。

注意事項
・イヌワシや希少種等の生息や繁殖の妨害となる情報(撮影ポイントや巣場所など)は書き込まないでください
・不適切と判断した書き込みは削除させていただきます
・録画等による二次利用は著作権の侵害にあたります

「伊吹山のイヌワシ子育て生中継」URL:https://youtube.com/live/7GT1ToXBM64

「伊吹山のイヌワシ子育て生中継」ダイジェスト2023 巣造りから産卵

一昨年からイヌワシの営巣が観察できるように、無人のリモートカメラをイヌワシに警戒されないように設置している。その後、繁殖期になって巣を訪れたイヌワシは、カメラにはまったく気づいていない。
昨年の様子は2022年1〜3月に書いたとおり、大雪のためにこの巣は使えなかった。その後の観察で、別の巣で繁殖し雛を巣立たせたことがわかった。
今年は雪が少ないが、1月には巣の上に雪が積もったままだった。イヌワシは時々巣にやって来て、積もった雪に胸を押し付けラッセルして除雪する姿が見られた。2月に入って暖かい日が続き、巣の上の雪も急速に溶け始めた頃、頻繁に巣材を運び始めた。5cmほどの積雪の上に巣材を積み上げている。
巣の雪は溶け、巣材は積み上がって産座も完成したのだが、2月下旬になっても産卵していない。2月初旬に産卵することが多いので、これ以上遅い産卵はないだろうと半ば諦めかけた2月27日、夕方遅くに雌ワシが巣にやって来た。夕方に巣を訪れることはあまりないので、もしやと思ってモニターを食い入るように見つめた。
30分ほど経って、雌ワシは卵を押し出すように体の収縮を繰り返し始めた。そのうちに巣の上に座るように姿勢を低くした。産卵が行われたようだ。しばらく呆然と立っていたが、やがて座って抱卵を開始した。
4日後の3月3日夕方に2卵目を産んだ。順調に進めば4月中旬に雛が孵化するだろう。
産卵から1ヶ月経った今も順調に抱卵を続けている。昨年からの計画通りイヌワシの子育ての様子を、公開の準備が出来次第youtubeでライブ配信します。

米原市と連携して「イヌワシ子育て応援プロジェクト」を立ち上げました。イヌワシを身近な存在として感じて取ってもらい、イヌワシの現状や伊吹山の素晴らしい自然環境について多くの方に知ってもらいたいと考えています。
一方で、イヌワシ目当てに多くのカメラマンが集まる伊吹山では、一部の悪質なカメラマンが巣に近づきすぎて親鳥が巣に戻れなくなったり、シカの死体を持ち込んで餌付けが行われるなど、違法行為やマナー違反が目につくようになっています。「無人リモートカメラ」の設置により巣の周辺を監視できることや、多くの人が見ていることで「見守り効果」が発揮され、撮影マナーの向上や違法行為から守る監視役として機能することを期待しています。

※お願い
イヌワシ子育てのライブ配信は、警戒心の強いイヌワシに影響を与えず、多くの方々にイヌワシを見てもらうための企画です。巣を探し回ったり撮影しようとして、巣に近づかないでください。人が巣に近づくと親鳥は巣から出てしまい、卵やヒナが死んでしまいます。

ライブ配信の日程は以下の通りです。
3月28日、米原市役所本庁舎3F市民交流スペースのモニターで配信開始
3月28日、伊吹山文化資料館で配信開始
4月1日、YouTubeで一般公開開始
URL:https://youtube.com/live/7GT1ToXBM64



ニホンジカは繁殖シーズン真っ只中。山は大騒ぎ

今はニホンジカの繁殖シーズンの最盛期だ。雄ジカのラッティングコールが四方八方から賑やかに降り注ぐ。
この時期の雄ジカは、ヌタ場で転がって全身に泥を塗りたくっている。赤茶色だった全身がほとんど黒っぽくなって、一瞬クマと見間違えるくらいだ。

雄ジカは、自分のテリトリー内の発情した雌ジカを探して近づいて行くのだが、雌ジカは雄が近づくと逃げて行く。逃げる雌ジカを、ものすごい勢いで追いかけているのをたびたび見かける。
他所から侵入して来た雄ジカが雌ジカに接近することもある。そんな時には、雌ジカを追う侵入雄ジカとその侵入雄ジカを追うこのテリトリーの雄ジカ、この騒ぎに便乗する数頭の雄ジカも現れて、熾烈な戦いが繰り広げらる。山はてんやわんやの大騒ぎだ。

秋は、雄ジカにとって大変な季節だ。雄ジカはこの期間にかなり痩せると聞いたことがある。自分のテリトリー内の雌を見張り、他の雄ジカの侵入があれば追い払い、食べることもそこそこに走り回っている。


ニホンジカが背伸びして、高い枝葉を食べる

秋はニホンジカの繁殖シーズンだ。雄ジカは袋角から立派な硬い角へと変わった。雄の縄張り宣言であるフィーーと長いラッティングコールが、山のあちこちから聞こえてくる。

近年、ニホンジカが増えて、伊吹山の草地や樹林の中も植物が食べられて裸地化し始めている。以前は食べなかったトリカブトの葉やコクサギなども積極的に食べるようになっている。
高い所の木の葉には後脚で立ち上がって、枝葉をくわえて枝ごと折取って食べる。背を伸ばし首を伸ばしてもわずかに届かない時には、思わず後脚でジャンプして頑張ることもある。また、角で枝を引っ掛けようとすることもあるが、これはあまりうまくいかないようだ。
植物を食べ尽くしたように見えても、これまで食べなかった植物への順応や採集方法の工夫など、ニホンジカの強さはこの順応性にあるのだと思う。


オレンジカモシカと子カモシカが再会

子カモシカがいましたー!!
今朝、オレンジを見つけた時には、すでにその横に子カモシカがいた。岩場でオレンジと一緒にくつろいで座っている。行方不明になってから4日目にようやく出会うことができた。
オレンジは見当違いの方角を探しているのではないかと、昨日まで僕は思っていたのだが、やはり母親の判断は正しかった。

しばらくしてオレンジが立ち上がると、子カモシカは腹の下に頭を突っ込んで乳を飲み始めた。この時期、子カモシカは自分で植物を食べるようになっているので、母カモシカは長く授乳せずに、歩き出して早めに中断させるのだが、この時は長く授乳を続けていた。おそらくつい先ほど再会したばかりなのだろう。
オレンジと子カモシカは、採食しながらゆっくりと移動して行く。いつものように寄り添って離れずに林の中へと入って見えなくなった。